1年と188日目「今日は、ダメだぁー」
「今日は、ダメだぁー」
休日ということで紗奈と一緒にベッドでゴロゴロしていると、隣に転がりスマホでカクヨムを見ていた紗奈が唐突にそう言って僕に覆いかぶさって来た。
んで、様子をうかがうように、唇にキスを数度落としてから口を重ねる。
もきゅもきゅもきゅもきゅ。
ひとしきりそうした後、余韻を感じさせながら口を離す。
目が合ったままなので、どちらかが少しでも反応するとまた口を重ね合うのだろう。
「それで何がダメなんだ?」
すでにこの状態が健全な若者と真逆に……真逆?
この辺り矛盾がある気がする。
スポーツなどで汗を流すのは間違いなく健全だ。
ではその反面、こうして好きな人とイチャイチャすることは健全ではないというのだろうか?
もちろん行き過ぎれば、それは歪んだ情欲や脳内麻薬の過剰分泌により、精神的な不安定さをもたらし……。
「颯太、颯太?」
紗奈に呼び掛けられて正気に戻った。
「今、深い思惑の世界に旅立っていた気がする……」
本当に深い思惑かどうかは別にして。
「正気に戻そうか?」
紗奈がそのピンクの綺麗な舌をちろっと見せる。
「戻して戻して」
もきゅもきゅしたいだけとか、改めて言うまい。
再度、口を重ねる。
もっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅ。
口を離しても、離れ難い気持ちだけが残ったまま目が合ったので、数度唇を重ねる。
吐息がかかるほどのそばで囁くように尋ねる。
「それで何がダメ?」
お互いの吐息がくすぐったくて、すぐに口を重ねる。
もきゅもきゅ
「……休日に一緒にゴロゴロしているとイチャイチャしたくなって何もしたくなる」
もきゅもきゅ
「……それは、ダメだね」
もきゅもきゅ。
「うん、ダメ」
もっきゅもっきゅ……。
口を離し、紗奈の口元を指で軽く拭き、自分の口元も腕でグイッと拭く。
「……あー、これは確かにダメだねぇ」
「そうだね、最近、毎週コレな気がする」
「あー、確かにこんなかも」
だから止めようとか、外に出ようとも、どちらからも口にすることなく、僕らは柔らかく何度も唇を重ね合う。
こういうの
……まあいいか。
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