348日目ぐらい「今日はもきゅることにするわ」
「今日はもきゅることにするわ」
今日の勉強のノルマが終わり、紗奈に僕らのベッドにひきづり込まれ、並んで座ったところで紗奈が唐突にそう言った。
「いつもしてるけど?」
もきゅるとか、新しい言葉作ってるし。
それ絶対、僕らの間でしか通じない。
「……してるわね」
とりあえず、紗奈の頬に手を当てて唇にちゅっとキスをする。
「んっ」
紗奈のほっぺが柔らかい。
ジーッと見つめ合う。
「……颯太、何気にスイッチ押しにきたわね」
「今日はもきゅるんでしょ?」
ギシっとベッドが音を立てた。
紗奈が真っ赤な顔で顔を逸らして頷く。
「……うん」
ゆっくり口を重ね、いつものように互いの舌も重ねていく。
もきゅもきゅもきゅ。
口を離しても紗奈は赤い顔のまま。
「……颯太狼、ヤラシィ」
「そうかなぁ」
いつも僕らこれをずっと繰り返してるよ?
当然、落ち着く訳もないので、また口をあぐあぐと動かしながら、もきゅもきゅを繰り返す。
「ぷぅあ〜……」
息も絶え絶えになって、紗奈は僕にしなだれかかる。
「恋人同士ならこのぐらい普通なんじゃない?
分かんないけど」
僕は紗奈以外と付き合ったこともないし、付き合うこともないから。
「私だって、分かんないよぉ〜」
なんとなく紗奈が普段より甘い言い方をしてくる。
そんな紗奈の頭をとにかく優しく撫でておいた。
「カクヨムじゃなくて、漫画なんだけどイチャイチャして毎回キスしてるカップルのあったかい話を今日読んだの。
それで良いなぁ〜っと思って」
「ああ、だからイチャイチャしたくなったということね」
紗奈の身体が柔らかく温かい。
「そうなの。
元々、結構好きな作者の話だったから、とっても幸せな気分。
恋愛はやっぱりラブラブハッピーでないと。
……でもね」
「でも?」
「ここ最近の禁断のカクヨムランキングを見ると、私はため息が出るのよ。
純愛ラブラブイチャイチャはどこ?」
「あー、まあ、ハーレム、エロ、浮気、そういう系統が多いね」
「うう……一時期は、そんな愛のドツボが減ってきたと思ったのに、今では別の所の小説の方が純愛が強くなってるわ。
それで良いのかしら!」
「まあ、人には好みがあるからねぇ〜」
ガバリと紗奈は身体を起こし、僕の顔を見る。
「そこで!
この悲しみを癒すために今日はもきゅるのよ!」
うん、まあ、僕としては是非もなしだけど……。
紗奈をベッドの優しく横たえながら、ちゅっと唇にキスをする。
「ん、颯太。
何度も言うけど容赦なくスイッチ押しに来てない?
も、もきゅもきゅで、止まれる?」
それから僕は紗奈の唇を自分の唇でいじりながら、宣告してあげる。
「今日、もきゅもきゅするけど。
明日もずっともきゅもきゅするからね?」
そう言って舌も絡めていく。
もきゅもきゅ。
もきゅもきゅで止まる気?
ないよ?
「はれ? え?」
僕が言った言葉を処理し切れないのか、紗奈が目を丸くする。
そうして返事も待つことなく、口を重ね……。
あー、うん、もきゅもきゅで止まることなくそのまま、さらに先へ。
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