232日目「一度書かなくなると書かなくなるのよ。」

「一度書かなくなると書かなくなるのよ。」


今日はすでに颯太にしがみついた状態でそう言った。


「あー、そうなんだ。」

そう言いながら、颯太はおざなりに私の頭を撫でる。


不満なので、颯太の口を塞いでおいた。

私の口で。

あむ、ぺろ。

もきゅもきゅ。


ヨシヨシと頭を撫でられる。

「見てよ!

カクヨムの更新も減ったと思わない?」


颯太にスマホを見せる。


「伏せ字やめたんだ?カクヨム。」

「なんだか面倒に、、。」

私はそっと目を逸らす。


ひとしきり颯太にゴロゴロ懐いてから、唐突にスマホを見せる。

「それとコレ!」

「おー、星1600オーバーでフォロー3000。

凄いね。」

「凄いのよ。

ここまで来ると、星がもっと欲しくなるのが人の業よ、はぁはぁ。」

私はわざとらしくはぁはぁと言って見る。

口を塞がれた。


もきゅもきゅ。


時々、思うのだけど颯太のもきゅもきゅスイッチって何処にあるのだろう?

はぁはぁ言ったら、何故かもきゅもきゅされるし。


「でもね、ここで重要かつ大事な話があるの。」

「どうした?」

「今度こそ最終回にすべきだと思って。」


颯太は何故か天井を見上げる。

「、、、また?」

「今度はほんとよ。」

「ほんとに〜?」


むむ!颯太に疑われた!

オオカミ紗奈になったせいね!


「今度はちゃんとした理由があるの。

本当は730日目、つまり来年の11月7日まで続けるべきと思ってたのよ?」

ちなみに11月7日が颯太の誕生日で12月7日が私の誕生日だ。


つまり来年の11月7日に婚姻届を役所に届けに行く予定なのだ。


「、、、でもね。

多くのカクヨム作者が通る道なんだけど。」

「道なんだけど?」

「、、、忙しいの。

そしてしばらく書かなくなると、筆は止まるの。」

「あー、なるほど。

まあ、どうしても生活があるものなぁ、、、。」


「そうなの。

それに今度全国模試があるでしょ?

流石に、流石にね、勉強しようと思って。

だってちゃんとやるべき事をしっかりしないで、颯太と結婚出来ないから。」


颯太は優しく私の頭を撫でる。


「そうだね、その通りだ。」


私たちは若い身空で結婚しようと考えている。

だけど、それは若気の至りというか、そういうものではいけないのだ。

ずっと一緒に居る、そのためにはやるべき事、やらなければならないことから逃げたりしないことがとても大切だ。


例えば人と関わることを避け続けて、どうして人同士の関係を作ることが出来ようか?

それは簡単なことでは無い。


だからこそ、テンプレ隠キャハーレムラブコメに物申す!

努力を怠る者に未来など無い!

おっと、話がズレるところだった。


くてんと私は颯太に体重をかける。


だから、これが最後。

終わらない物語はない。

どんな形であれ、物語は終わらせなければならない。


それは私が自分で決めた約束。

終わらせることは、新たな物語のための始まりだから。


「ねえ?颯太。」

「なんだい、紗奈?」


永遠に終われなくなった物語ほど悲しいものはない。

次を始めることが出来ないのだから。


「しよ?」

「え、、、?」

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