730日に続く233日目「最後の検証をしましょ?」

「最後の検証をしましょ?」


紗奈は僕にしがみ付いたままそう言った。


「あ、なるほど、検証ね、検証をしようという事だね。

それで、どんな検証?」


「うん、本当の意味で1つの身体になろ?」


、、、、、、。


はい?と問い返しそうになった時に紗奈の顔を見た。

ふざけている訳でも、分かっていない訳でもない。

真っ直ぐに僕を見ている。


、、、僕は紗奈の頭を優しく抱え。

「うん。」

問い返すことなく、そう返した。


遮る物のない状態でのそれは、あまりに危険な行為。

その先にある意味をどれほど頭ではなく、心で理解しているか?




互いを抱き締める。

僕は紗奈の頭を優しく撫でながら。


お互いの服がベッドの下に重なっている。

「、、、これはなんの検証?」

「愛し合っている幼馴染の兄妹が至る未来?」

「、、、無理矢理だね?」


紗奈がふにゃふにゃと僕の胸に擦り寄る。

「、、、とんでもなく幸せ。」

「そうだね。」

「それなのに、人はどうして好きでもない人とこんなことが出来るのかしら?」


僕は少し悩む。

性欲があるから?

生き物の習性だから?

そのどれも答えとしては心に納得は出来ない。


「、、、きっと知らない人の方が多いのかもね。」

「え?」

「愛している相手となら、こんなどうしようもないほど幸せな気持ちになれるってこと。」


知る前に沢山のことが終わってしまうのだろう。

だから軽く考えて至ってしまった関係があんなにも悲しいのだろうか。


「切ないね、、、。」


仕方ないことも多いだろう。

好きな相手が想いを返してくれるとも限らない。

その逆も。

本当に性欲だけで、快楽だけで、この幸せを手放す人もいるだろう、永遠に。


「そうだね、切ないね。」

良い悪いだけではない。

仕方ないことだけど、悲しいと思うようなこともある。

反対にそこから何かが、、、気持ちが生まれることもある。


「今、私は間違わずに颯太と一緒に居られる。

それが何よりも嬉しい。」


ぎゅっと紗奈がしがみ付く。

僕は僅かに身じろぎする。


「、、、颯太、限界?」

僕は少し躊躇う、けど。

「、、、うん。」


少し躊躇いがちに、紗奈は下に目線を向ける。

「そのままはまだ、だよね、、、。」

「そうだね。もう少し。」

お互いはやっぱりまだ高校生だから。


「、、、でも、ちゃんと働く。

働きながら勉強して、頑張るよ、大変、だろうけど、、、。」


僕はそう言ったら、紗奈がクスクスと笑う。


「颯太、いっぱいいっぱいだね?

、、、その時は、私も頑張る。」

「そうだね、2人で頑張ろう。」


いつか産まれる2人の大切な生命のために。


「ねえ?颯太。」

「何、紗奈?」

「、、、恋人じゃヤダなぁ。」

今度は僕が紗奈をぎゅっと抱き締める。


「もう絶対に逃す気なんてないから。

紗奈はもうとっくに僕の妻だから。

日本の法律で婚姻届が出せないだけで。」


紗奈も僕を抱き締める。


「、、、うん。

私も颯太をぜ〜ったい逃してあげない。

私は颯太のお嫁さん。

颯太は私のもの。」


「、、、ごめん、紗奈。

流石に。」

「、、、うん。

いつか、2人の子供、作ろ?」

「うん、愛してるよ、紗奈。」

「私も愛してる、旦那様の颯太。」


僕らは唇を重ね、ついばみ、口を重ねる。


もきゅもきゅ、もっきゅもっきゅ。


物事は簡単な時もあっても、多くは簡単じゃない。

ハーレムもざまぁも別れたカップルも。

どういう過程を経ようとも、相手の事を想い合った結論を出して欲しいと思ったりする。


僕らはこれからも多くの言葉を交わすだろう。

そんな幼馴染から始まった僕らでさえ。

相手を本当に分かり合う事は難しい。


バッドエンドは嫌いだ。

ハッピーエンドが好きだ。


そのために僕らは日々努力するし、投げ出したりしない。

その積み重ねだけが2人の愛を育てる。


大切にしたい相手だから。

一生、、、永遠というほどに大切な人だから。

僕らは今日も触れ合い、言葉を交わす。


そして、、、。

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