229日目「別れるとさぁ〜、、、。」
「別れるとさぁ〜、、、。」
僕らのベッドでうつ伏せで、スマホでネット小説を書こうとしていた紗奈は唐突にそう言った。
僕は素早く椅子を回転させて立ち上がり、紗奈の隣に座る。
「どういうこと?」
「ん〜、今、そういう恋愛小説書こうとしたらね。」
僕は脱力して紗奈の隣に転がる。
「颯、、んっつ。」
小首を傾げる紗奈を上に乗せて、紗奈の頭を押さえて口を重ねた。
もっきゅもっきゅもっきゅもっきゅ。
口元から糸が繋がる。
紗奈の口元を指の腹で優しく拭く。
「突然どうしたの、颯太?」
「別に?」
別れたらの言葉が嫌だったとか言わない。
すると紗奈は優しく微笑み、唇を重ねてきた。
もきゅ。
「私たちが別れるとかないよ。」
「ん。」
内心を見破られて恥ずかしい僕と対照的に、紗奈は嬉しそうにニヤニヤ顔だ。
もう一度、紗奈が唇を重ね、互いのそれを啄む。
もきゅもきゅ、、、。
「それで?どういう意味だった?」
紗奈を抱き締めたまま、気を取り直して紗奈に尋ねる。
「うん、検証するつもりだったわけじゃないんだけど、恋愛小説書こうと思って高校生の別れたカップルが1年後に寄りを戻そうとする話を考えてたのよね、そしたら。」
「そしたら?」
「想像以上にハードルが高かったの。」
「どういうこと?」
「ん〜と、考えたのは男が元カノの過去の恋愛に嫉妬して、でもその嫉妬を自分の中で昇華し切れなくて別れを選んだという流れなんだけど。」
「ふむふむ、現実では良くある話じゃないか?」
「そうなの。
でも1年経っても2人ともが相手を吹っ切れてない、というところから始まる訳だけど、、、。」
「あ〜、お互い両想いのままかぁ、それでジレジレするわけだ。
それが何が問題なんだい?」
紗奈は僕の上ではふ〜と脱力しながら、話を続ける。
なお、僕は上に居る柔らかく温かい紗奈に落ち着かなくなってきている。
乗せたの僕だけど。
「うん、この2人別れた時の理由を話し合って解決しても、かなり高い確率でもう一度別れるのよ、多分、今度は女の方から。」
僕はクエスチョンマークを頭に浮かべる。
未来予知?
僕の顔を見て紗奈ははにかむように笑う。
、、、可愛い。
「書いてみるとあることなんだけど、キャラが動くというか、その人がどういう思考回路するかがなんとなく分かるのよね。
すると、そういうキャラ同士が交わった時にどういうことが起こるかがなんとなく分かるのよ。
で、この場合、その時の『嫉妬について』だけお互いで解決しても、また『同種の性質』の問題が発生した時、2人は同じ選択、つまり別れを選ぶのよ。
高校生年代のカップルだから生の感情で行動してるから、つまりこの2人の場合、本能的に『このようなパターンの場合』、別れを選ぶ行動を取りやすい。
じゃあ、どうしたら良いかと言えば、そもそもの根本のお互いに自分の醜い部分、嫉妬とかについても正直に話して言えるようになることと、相手がそれを許したいと思えるほど相手に受け入れてもらわないといけない訳よ。」
難しい話になってきた気がする。
僕はなんとか頭を回転させる。
「、、、つまり別れたカップルについては好きかどうかよりも、相手と深いところを話し合って解決しないと、好き合っていてもまた別れるよ、ということかな?」
「そうそう。」
嬉しそうに紗奈は僕の首元に顔を寄せる。
「一度も別れを選んでいないカップルの場合、それは時間を掛けて行えば良いんだけど、一度別れを選んだカップルは別れるハードルが低いのよ。
良くも悪くも相手より自分を優先した経験があるから。」
成る程、浮気をする人もしたことのない人よりもしたことのある人の方がハードルが低いということだ。
そこでなんとなくで、紗奈と目が合う。
紗奈がふわっと笑う。
さっきまでの話と関係ないけど、今日の紗奈に僕はくびったけのようだ。
顔を寄せ重なり合う口と口。
もきゅもきゅもきゅもきゅもきゅ、、、。
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