228日目「結局のところ、ざまぁやハーレムは何が面白いのかしら?」
「結局のところ、ざまぁやハーレムは何が面白いのかしら?」
紗奈はベットの僕の隣でゴロゴロしながら、スマホでネット小説を読んでいたが唐突にそう言った。
「ざまぁ好きでもハーレム好きでもないからわからないよ?」
「颯太!検証よ!久しぶりに検証するわよ!」
そういえば久しぶりな気がしなくもない。
「でも検証ってどうやって?
ざまぁとかハーレム書いてみるの?」
僕がそう言うと紗奈は目を逸らす。
「前に書いた『勇者に幼馴染が寝取られた』が私のざまぁ寝取りテンプレ限界よ、、、。」
「いや、だってアレ、ギャグじゃん。」
「シャーラープ!颯太、シャラープ!!」
そう言って紗奈は僕の口を口で塞ぐ。
もきゅもきゅ。
キュポンと口を離す。
「ふ〜、危ないところだったわ。
それよりざまぁ人気について検証よ。」
「つまり紗奈は幼馴染ざまぁ系は書けないわけだ。」
「シャーラープ!颯太、シャラープ!!」
そう言って紗奈はまた僕の口を口で塞ぐ。
もっきゅもっきゅ。
チュッとリップ音をたてて口を離す。
「いえね、実際、アレも書こうとしたのよ?
でも、なんて言うの?
コトが起きる前に何やってんの?とツッコミ入れたくなるわけよ。
つまりざまぁ系やテンプレを書ける人は、内なるツッコミの魂を抑え込める強者ということよ。」
「、、、そういうの書ける人はツッコミたいと思わないだけじゃないの?」
「そうともいうわね。
でも読んでみて思うのは、小説の技術的にどうこうも特に関係ないようだし、感情を揺さぶる展開や仕掛け、文章のテクニックが他の優れた作品に比べて大差は無さそうだけど、ハッキリとジャンルとしてハーレムや幼馴染ざまぁは人気なのよ?
それを求める人の心理って何かしら?」
「う〜ん、、、。
テンプレチートを検証している人は、爽快感とか言ってたね。
あと現代社会に疲れ切って、楽に幸せになれる作品が欲しいんじゃないかとも。」
「それもそうなのでしょうけど、それだけかしら?」
「というと?」
「幼馴染ざまぁして、、、爽快?」
これには僕は唸るしか出来ない。
爽快かといえば全く爽快感はなく、僕なんかは、おそらく紗奈も不快感を感じることが多い。
「ゲス不倫や幼馴染ざまぁも寝取りも、裏切る方はとことん不幸になって、反対に主人公は救われて幸せになるって流れよね?
もしかして人の不幸、、、。」
「待った、紗奈。それ以上は、、、。」
「あ、いいえ、違うの。
否定したい訳ではなくて、、、。
でも、それが人気なのだとしたら、そういう要素は『現在の』ランキング内の入るためには必要ってことにならないかしら。
繰り返すけど、私はそれを『書けない』のよ。」
「う〜ん、、、。」
正直、そこに僕は答えを見出せなかった。
ランキングの中にはそれとは関係なく登り詰める良作もあるにはあるが、それとは別にやはりテンプレ物が変わらず人気なのだ。
紗奈はランキングに載るようなテンプレ作品を書いていないし、紗奈も言うように『書けない』のだ。
だけど、ランキングに載ることは作者としてモチベーションがかなりあがるのも事実。
「ま、私は私で折り合いを付けていくわ。
悪い意味ではなくプロではないから、気楽に書きたいものを書けるしね。」
「、、、紗奈。
、、、書きたいのって、コレ?」
僕は紗奈にスマホで『イチャイチャ幼馴染』の画面を見せる。
紗奈はそっと、、、目を逸らした。
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