221日目EX「ちっがぁぁーーーーう!!!」
「ちっがぁぁーーーーう!!!」
先程まで僕の隣でカチカチとスマホでネット小説を書いていた紗奈が唐突にそう言った。
寝転がったまま紗奈の頭を優しく撫でていた僕はスマホをチラッと見て。
「あ、さっきのやりとり書いちゃったんだ。
最近、紗奈遠慮がなくなってきたねぇ、、、。
ほどほどにしないとダメだよ?」
「、、、まあ、その、当初よりPV数も減ってきたし、良いかなぁ〜って。」
それで自爆するの紗奈なんだから、本当に気をつけるんだよ?
僕?僕はほら、、、まだ加減して、いやいや、気を付けよう。
ほどほどに頼むよ?
「じゃなくて、ちっがぁぁーーーーう!!!」
「何が?」
僕が尋ねると、コロンと紗奈はこちらを向く。
ほっぺにキスを落とすとくすぐったそうにするが、それでも話を続ける。
「良いかしら?私はね、エッチな小説を書く気は無いの。
これはまず良いかしら?」
「そう言ってるね、だったらもう少し加減しようね?
今更だけど。」
「そうね、今更ね。」
紗奈の頭をまた撫でながら、僕は改めて言う。
「でもね、僕は正直言って、肉体関係を伴わない恋人同士の『愛』は無いと思うよ?
もちろん、家族の『愛』とは別だよ。
それがカ◯ヨ◯や社会で制限されるのは、一歩違うだけで肉欲でしかなくなるからだ、と僕は考える。」
「肉欲?」
紗奈は首を傾げる。
「そうだね。
僕が寝取りや浮気が嫌いなのも、それが『愛』の範囲ではなく肉欲でしかないからだ。」
でもこれは言ってしまえば、倫理、そして哲学に分類される話にもなる。
「紗奈は、ね。恋愛小説好きだけど、恋の話と愛の話、どちらが好き?」
「えっ?えっ?そんなに大きく違うもの?」
「恋愛と一括りに言うことは多いけど、誰かを好きという話は大きく分けて2つ。
自分の想いを大切にしたいか、相手の心を大切にしたいか。
どちらがどちらかは分かるよね?
もちろん!恋が相手のことを全く考えないという訳ではないよ?
今聞いているのは、ただ単にどちらの方が好きか?ということだけ。
紗奈の言う温かい話はどちらかと言えば『愛』の話だね。
恋の話はドキドキや興奮が先に来るからね。」
紗奈は僕をじっと見る。
「私たちは?」
僕は肩をすくめるようにしてから紗奈に微笑みかける。
「言うまでも無いよ。
僕らはラブコメエンディング後だよ。」
僕はその答えを口にする。
そうしてお互いから自然と近付いて口が重なる。
もきゅもきゅもきゅもきゅ。
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