221日目「寝る前に幸せな気分になれる話が読みたいのよ。」
「寝る前に幸せな気分になれる話が読みたいのよ。」
部屋に入るなり、僕をベッドに引きづり込んでしがみ付く紗奈は唐突にそう言った。
「それはどんな?」
動けない、いや無理矢理動こうと思えば動けるには動けるけど。
ただ何というか微妙なバランスの上でこうしているというか、何というか。
そのまあ、なんだね、こう紗奈にしがみ付かれるとそのまま押し倒してしまおうかという、こう、ね?
紗奈はそんな僕の状況に気付いているのかいないのか、分からない感じで会話を進める。
「何というか眠れぬ夜に読む小さなお話、みたいな?」
よく分からないな?
僕が疑問な顔をしたことには気付いたらしく、紗奈は話を続ける。
「あったか〜い、幸せな気分になる恋愛物が読みたい。
小説はもっと自由なはずなのに、そういう話が少ないの。
エッセイ的な感じでもいいから、幸せな気分になって眠りにつきたいわ。」
「あ〜、、、そうか、小説という形で物語が重視されたりするけど、そういう話があっても良いのか。」
「ちょっと前だったら、幼馴染とのラブラブ話でそういうのがあったけど、今は見当たらないの。」
紗奈の髪に触れ優しく撫でる。
「紗奈はイチャイチャ幼馴染みたいな話が読みたい訳か。
だから、僕らの日常をカ◯ヨ◯で書いてるわけなんだな。」
「そうね、エッセイとか面白いけど、そういう感じな小説があってもいいと思ってるから。」
さっきから紗奈が僕の口を見て、ちょっと近付いては離れ、ちょっと近付いては離れしている。
「、、、紗奈。そう誘惑されると僕は保たないよ?」
「、、、もうちょっと待って。
もう少しだけ『愚痴』らせて?
、、、後で重ねるから。」
可愛くおねだりされた。
愚痴という言い方をしたけど、この話を愚痴と言って良いのだろうか?
「最近は令嬢物の恋愛を読むけど、良い作品が見つかってもすぐ読み終わっちゃうから、、、。」
「そりゃまあ、長期連載物はあらかた読んでるだろうしね、、、。」
「、、、そうね。」
お互いの目が合う時間が長くなり始めた。
僕はあとどれぐらい我慢出来るのだろう?
「、、、ねえ、颯太。」
「何、紗奈。」
純粋そうな深い瞳だこと。
僕の口から思わず本音が漏れる。
「頭の中が紗奈が可愛いなぁとしか思えなくなってきた。」
紗奈はジーッと僕を見つめる。
それから目線を逸らし。
「ねえ?颯太。
、、、私たち、こんな状態で2人で一緒にベッドに転がってる時点で時間の問題かしら?」
「、、、紗奈はどうかは分からないけど、僕は時間いっぱいで限界だよ?」
だって男の子だもの。
「、、、そう。」
紗奈は余裕ありそうに見えるね?
そこは男と女の違いなんだろうな。
我慢、我慢。
紗奈はもぞもぞと身体を起こし、少しだけ僕の目を見つめ、、、ゆっくり僕の唇に自分の唇を重ねた。
「、、、いいよ。」
僕は荒くならないように震える手で紗奈の後頭部と背に手を回し抱きしめ、口を重ねた。
もきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅ、、、。
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