218日目「3時間で6000文字、これが何か分かるかしら?」
「3時間で6000文字、これが何か分かるかしら?」
僕らのベッドの上でうつ伏せになり猛烈な勢いで、スマホでネット小説を書いていた紗奈が額の汗を拭く真似をしながら唐突にそう言った。
僕は椅子をクルッと回転させて、、、立ち上がって紗奈の隣に座る。
「6000文字書いたの?」
紗奈は僕の腰にしがみ付き、下から見上げる。
「書いたの。ご褒美頂戴。」
「んっ。」
せがむので口を重ねる。
もきゅもきゅ。
最後にお互いの口の周りをぺろりとする。
当然、もう一度舌が自然と絡まったので、もう一度。
もっきゅもっきゅ。
口を離すと紗奈は口元を僕の足で拭く。
やめなさい。
「3時間で6000文字なら1時間2000文字?」
「正確には6300文字、1分35文字つまり2秒以内に1文字。
なお、これはストーリーを考える時間も含めてよ。」
「ストーリーを、って、、、ほとんど考えてなくない?」
「ふふふ、、、。」
紗奈は虚な目で僕にしなだれかかる。
「、、、イメージしたのは、詐欺師が何故か盗賊に参加している場面のみ、、、そこから指が勝手に動くの、、、。
私は心から詐欺師だったのね、、、。
最初はほんの実験だった。
勘違い系の新作が煮詰まって書くのが『面倒』になってきたから、詐欺師の話ってどうだったかな?と興味本位で外伝を書いてみたの、、、。
ふふふ、、、。
忘れていたわ。
1日2話以上更新をしていたカラクリがこんなところにあったなんて、、、。
休みの日に集中したら6話ぐらい一気に書いてたんだった、、、。
私の心は詐欺師だったのよ、、、。」
僕はスマホで更新された外伝を読む。
「別に詐欺ってないよね?
いつも通り勘違いされてるだけというか、、、この人、もう詐欺師じゃなくなってなかった?」
「気のせいよ。」
気のせいか。
とりあえず紗奈の頭を撫でる。
「よく分からないけど、文章のテンポが合うんじゃない?
イチャイチャ幼馴染も書くの早いでしょ?」
「アレはほら、私たちのイチャイチャ書いてるだけだから。
1時間で1000文字ぐらいよ。
他の作品でもこれぐらい安定して書ければいいけど、そういうわけにはいかないわよねぇ。」
「まあ、僕からしたら紗奈が無理しなかったらどちらでもいいよ。」
そう言って、紗奈の方に顔を向けると紗奈も応えるように顔を上げ、口が重なる。
もきゅもきゅ、、、。
「、、、でもなんで起きた出来事書いてるコレより、詐欺師の方が書くのが早いのか、自分でも謎だわ。」
「それは、、、謎だね。
後は、、、イチャイチャ幼馴染は一回1000文字にしてるからじゃない?
書こうと思えばそれ以上書けるんじゃない?」
それ以上、なんとも言いようがなかったので、ぐったりする紗奈の頭を撫でておいた。
「あ、そっか。」
納得したらしい。
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