191日目「やってしまったらごめんなさい。」
「やってしまったらごめんなさい。」
僕の、、、もういいや、今更だ。
僕らのベッドの上でゴロゴロ転がりながら、スマホをカチカチさせてネット小説を書いていた紗奈がピタッと動きを止めて、唐突にそう言った。
どうやら今日の勉強時間は終わりらしい。
時計をチラッと見るといつも通りの時間だ。
僕は机の上を片付けて、椅子から立ち上がり紗奈の横に座る。
紗奈はまたゴロゴロ〜っと転がって来て、僕に絡みつくように腰にしがみ付く。
紗奈が近付いて来たので、いつも通りに紗奈の頬に手を触れ、口を重ねる。
もきゅもきゅ。
口を離し、ぺろっと自分の口の周りを舐める。
いつもしているのに、なんだか久し振りな気がする。
なので、したりないのでもう一度口を重ねようと顔を近付けると、紗奈も受け入れるように僕の口を待つ。
口が重なる。
もきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅ、、、。
紗奈の横に添い寝する様に転がりながら、彼女の頭を撫でる。
「それで何をやってしまったらごめんなさい?」
「これよ!」
紗奈はスマホを見せてくる。
ん?
ん〜?
そこにあったのは新作のタイトル。
『ヤってしまったら、ごめんなさい!』
「、、、紗奈は今、長編書いてて、ここ最近忙しいから更新ストップしてなかったっけ?」
「してたわ!」
「、、、これ、新作っぽく見えるけど?」
そこにあったのは、まだ公開していないラブコメ小説。
「、、、新作よ。」
紗奈がそっぽを向く。
「、、、いや、いいんだけど2つも書いてる余裕あるの?
前に2つが限界って言ってなかった?」
それもこの新作、長編用って書いてある。
「、、、頭が空っぽなノリの小説って、捗るのよ。」
確かにコメディ色の強い内容だった。
「最初は紗奈の嫌いな寝取り系かと思ったけど、、、。」
「いやぁねぇ、私がそんなありきたりな不幸物書く訳ないじゃない。」
寝取り系って不幸物なのかな?
むしろギャグ?
う〜ん。
「あとテンプレラブコメも書けないわ!」
僕はもう一度スマホを確認する。
「、、、テンプレ、ではないよね。
おかしいな、、、たどっている道筋はどう見てもテンプレなのに、ある一点においてそのテンプレを踏み外して深い谷底か、反対に何処か遠い空の上にいるみたいな気分になる。」
「なかなか良い表現ね、颯太。その通りよ!
私はこんなことでもなければ、普通のカ◯ヨ◯的テンプレラブコメは書けないわ!ツッコミ入れちゃうもの!」
まあ、わからなくもない、僕もツッコミを入れてしまうから。
「、、、公開するつもり?」
「ある程度書いたらね。
私はある程度書き溜めてからじゃないと、公開出来ないタイプなのよ。
我慢出来ずに公開してしまうと途中で大きく止まってしまうの。」
「まあ、無理をしない程度に。」
僕がそう言うと紗奈はえへへ〜と嬉しそうに笑い、僕に擦り寄る。
僕はそんな可愛い紗奈という獲物が近寄って来たので、そのまま、口付けをする。
もきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅ、、、。
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