180日目「ついに最終回を迎えちゃった。」

「ついに最終回を迎えちゃった。」


ソファーに並んで座って、僕はiPadでスタディアプリを、紗奈はスマホでネット小説を見ていた。

そんな中、紗奈はポツリとそう言った。


「詐欺師の話?」

「そう。ここまで長編を書くのは初だから、なんて言って良いか、終わった気がしないというか。」

紗奈はスマホを下ろし、足を上げて天井を見上げる。


「どんな気分?」

「そうね、中学受験が終わった後の気分かな。

解放されたとも言えるし、やり切ったとも言えるし、やっぱり、ああ、終わったというか。

でも、新しい始まりな感じかなぁ。」

へえーと感心したようにそう思う。


「そういう気分を味わえるって、悪くないね。」

「そうね、悪くないわ。

でも反応がないと寂しい気はするわ。

まあ、これは仕方ないことなのでしょうけど。」

「、、、お疲れ様。

次も何か書くのかい?」


紗奈はコテンと僕の方に倒れる。

「ん〜、分かんない。

イチャイチャ幼馴染も終わらせちゃったし、暫くは考える。

颯太と同じ大学にも行きたいし、一緒に勉強しようかな。」


僕は無言で紗奈の頭を撫でる。

「何をするべきか、よく考えたら良いよ。」

「颯太、義父さんみたいなこと言うね。」


んむ?っとちょっと顔をしかめてしまう。

嫌なわけではないけど、、、。

「紗奈は僕の嫁だから、、、んむっ。」

父さんじゃないと続けようとしたら、紗奈に唇をふさがれた。


んむんむ。

いつものように舌は使わず、唇だけで相手の唇をついばむ。


、、、まあ、要するにキスなんだけど。


「当たり前でしょ?

颯太は生涯、私の旦那よ。

籍を入れていない今でもね。」

「、、、紗奈。」


ふと気配を感じて振り向くと、ニマニマする父と義母が!

「いやぁ、ラブラブだなぁ。良きかな良きかな。」

「あらあら、良かったねぇ。紗奈。ざまぁになりそうになくて母さん安心したわぁ〜。」


2人して真っ赤になって、立ち上がりいそいそとリビングを出る。


「避妊はするのよ〜?」

もういいからという風に手を振り、僕たちは真っ赤になった顔で手を繋ぎ、返事をせずに部屋へと帰る。

今日も同じ部屋へ。

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