181日目「ダメだぁー!NTRはダメだぁー!」

「ダメだぁー!NTRはダメだぁー!」


リビングのソファーで2人並びながら座って、僕はiPadでスタディアプリを、紗奈はスマホでネット小説を見ていた。

そんな中、紗奈は唐突に両手を投げ出し、パタンと僕の太ももに倒れ込んでそう言った。


「NTR物ダメなくせになぁんで読むかなぁ〜?」

「なんかね、ホラーと一緒なのよ。

もしかしたら怖くないかも、とか実はNTRじゃなくてそれを利用した純愛かも!?と期待しちゃうのよねぇ〜。

ダメだ、気持ち悪い。

颯太ふうた口直しカモン。」

「えっ!?」

リビングを見回すが両親は、、、キッチンの方に居る。


隙を見て、というか今ならと、催促のまま口を重ねる。


「んっ、、、。」

内心、紗奈!声!声!抑えて!と思いながらそのまま、、、。


もきゅもきゅ。


慌てて離れたので、口同士を透明な橋が繋がったままになり、ドキドキしてしまう。

頭を撫でるふりしながら紗奈の口元を袖で拭いて、振り返らずに自分の口元も。


ちろっとキッチンの方に視線を向けるが、両親はリビングに入ってきていない。


ふ〜、、、。


「へへへぇ〜。颯太ぁ〜。」

そう言いながら、紗奈は僕の腰に手を回す。

、、、まあ、嬉しそうだからいいかと思ってしまう。


「こうしてみるとな◯うとカ◯ヨ◯でラブコメの作風が大分変わってきている気がするわ。

前まではランキング内は大差無かったのに、なんだろ?な◯うはまだ、そういうキツい系と言っていいかなぁ、前のテンプレが上位に来てるけど、カ◯ヨ◯は面白い純愛が増えてきてる気がする。」

「ああ、純愛は良いよねぇ。僕も純愛がいいし、純愛でないとダメだな。」


「、、、思うんだけど、カップルになって人と人が付き合っていく中で知るべきはそこなんだと思う。

価値観の違いって言うの?

とある偉大なマンガでも言ってたわ。

その人が知りたければ、その人が何に怒るのかを知れと。」


「ああ、ハン◯ーのやつだね。実際、その通りなんだろうね。

浮気を平気だという人もいれば、そうじゃない人も居る。

キスが浮気だという人もいれば、違う人も居る。

皆、本当に許せる範囲は違う。

そのために人は付き合い、知っていくのだからね。」


紗奈の髪を優しく撫で、ちろっとリビング内を確認して唇を奪う。

「んっ。」

紗奈も当然にようにそれを受け入れる。


「そう思うと、恋愛は付き合ってからが大事なんだろうね。本当に好きな人と共に居るために。

それでもあなたの価値観と共にいれますかって。

だから、私はハーレム的な動きをする男とは究極的に合わないわ。

独占欲強い自信あるし。」

「まあ、それは僕もだな。

その意味では紗奈と合ってて良かったよ。」

そう言って、お互いが顔を近付け口を重ねる。


もきゅっ。


その時、かたっと音がして両親がリビングに入ってきたので、すぐに顔を離す。

僕らは固まった表情で何事もなかったような振りをする。


「ソ、ソウイウ訳デス、颯太サン。」

「ソ、ソウカ、ワカッタヨ、紗奈。」

2人で目が泳いで、その目が合ったところで苦笑する。

紗奈の頭を撫でる。

「危ないから注意だね、颯太。」

「そうだねぇ、でも、ま、仕方ないんじゃない。」

そう言って笑い合う。


ソファーで紗奈を膝枕してイチャイチャしている姿がすでに、両親からすればニマニマする光景であることを、、、その時、僕と紗奈はまだ、気付いていなかった、、、。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る