「ねえ、颯太ぁ〜、チョコあげる。」

それは2月14日のバレンタインの日のこと。

当然、紗奈はこの日も僕の部屋で僕のベッドに腰掛ける。

手には綺麗な包装紙のチョコレート。

早速、椅子を回転させて立ち上がりそのチョコレートを受け取る。

「ありがとう。」

何というか、彼女から受け取るチョコレートに感慨深いものを感じる。

「早速、食べてみて！」

言われるがままに、開けると一口サイズのブロック状のチョコレートの詰め合わせ。

そこで正直、僕は魔が刺した。

けどしょうがないと思う。

男の憧れだ。

「、、、紗奈。チョコレート食べていい？」

「いいよ〜。」

早速、そのチョコレートをひとつまみ、紗奈の口に差し出す。

キョトンとしながらも差し出されるままに、それをパクリと咥（くわ）える紗奈。

そのまま顔を近付ける。

紗奈も何をされるか分かったのだろう。

チョコレートを食べずに咥えた状態で僕を見つめる。

パクッ。

特に抵抗もなく紗奈の口から僕の口へチョコレートは移る。

もきゅもきゅ。

口の中にチョコレートがあると上手くもきゅもきゅは出来ない。

口を離し、チョコレートを食べる。

「うん。美味しい。」

そうして、口の中からチョコレートを追い出して、紗奈を優しくベッドに横たえさせる。

「はれ？颯太。私、チョコレートじゃないよ？」

「うん。ちょっと、紗奈の口(の中)にチョコレートが付いてるから貰うだけ。」

「それは颯太がチョコレートを、んー。」

もきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅ、、、。

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