169日目「テンプレはやはり難しいわ。」
「テンプレはやはり難しいわ。」
僕のベッドの上で僕の隣に寝転びながら、スマホをいじっていた紗奈は唐突にそう言った。
僕は無言で紗奈を転がし、上を向かせる。「あれ?」
そのまま口の方に。
もきゃもきゅ。
「それで?」
「あ、うん。あのテンプレ作品の続きを書いてみたの。それでね、んっく。」
もきゅもきゅもきゅ。
「うん、それで?」
「テンプレってやっぱり難しいなって、、、。」
紗奈は僕に見るようにとスマホを見せる。
優しくスマホを受け取り、枕の方の棚にそっと置く。
んで、、、。
もきゅもきゅ、もっきゅもっきゅ。
「紗奈。」
呼びかけると紗奈は大人しく舌を出す。
ぺと。
ぺとぺともきゅもきゅもきゅもきゅ、、、。
「、、、待った。待った待った!颯太!
おかしくない?
もきゅもきゅ量が異常なんだけど!?」
「そう?」
そう言いながら、唇を重ねる。
「んっ。、、、じゃなくて、もきゅもきゅ晒し過ぎだって颯太。」
「うん、晒し過ぎだから、表現を柔らかくしたらどうかと言ったね。」
「もしかして、颯太、今まであれでももきゅもきゅ抑え、もぐっ。」
もきゅもきゅもきゅもきゅっぽん。
「、、、ふ〜、危ないところだった。
紗奈、真実を晒すことが正しいとは限らないよ?危うく致命傷になるところだった。」
紗奈はぐったりして。
「もう致命傷よ〜。
颯太、私がもきゅもきゅを嫌がったらどうするの?」
「紗奈が嫌がるならしないよ?
嫌?」
僕は紗奈の頭を優しく撫でる。
「、、、嫌じゃない。」
目を細め、唇を重ねる。
紗奈も応えるように顔をあげる。
互いが離れる時に、ちゅっとリップ音が自然と出てしまう。
そして、紗奈にスマホを返してあげる。
紗奈は僕にしなだれかかるように引っ付いて、例の小説『勇者に幼馴染を奪われた。器用貧乏な俺はスキルのおかげで底辺から最強に至る。』の第4話を見せる。
タイトル長いね。
「なるほど、、、。
紗奈がテンプレを書くとこうなるか。」
「人によるのでしょうけど、ただ日々を忙しく過ごしてるルタスの方がテンプレ定番をしていたサークより書いてて楽しかったわ。
きっと、私はこのパターンのテンプレは楽しく書けそうにもないわ。」
「サークの飛びつき方が、紗奈の飛びつき方と重なって見えるのは、僕だけかな?」
「そう?ならサークにとっての颯太がルタスなのかもね?」
、、、これってそういう話なの?
「あ、そうだ。颯太。」
「何?もがっ。」
もきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅ、、、。
今度は紗奈の方から。
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