166日目「面白味って何だろう?」

「面白味って何だろう?」


僕のベッドの上でうつ伏せで寝転がって、足をバタバタしていた紗奈は唐突にそう言った。


僕はペンを持ったまま、椅子をくるりと回転させて首を傾げる。

「面白味?」


紗奈はコロンと身体を横にして、スマホを持ったまま両手を伸ばす。

「颯太!颯太!抱き付きたい!」


珍しく直接的に言われたので、ちゃっちゃと机の上を片付けて、いそいそと横になり慎重に紗奈を抱き締めた。


紗奈は僕の腕の中で身体を擦り付け、えへへー、と笑う。


、、、可愛いし柔らかい。

抱きしめたまま、頭を撫でる。


、、、何というか穏やかな気分がしつつ、モニュモニュモヤモヤするのは何故だろう?

、、、うん、うん、分かってる。


、、、ちょっと今、危険。


どう危険かって?

そう例えば、、、。


「ちょっと喉渇いた。

颯太〜、後ろの水取って〜?」


そう、ちゃぶ台の上にあるペットボトルの水。

うんうん、これ多分、側から見てる人が居たら、何が起こるか分かると思う。

分かるよね?

分かるだろうな、、、。

紗奈?晒したらダメだよ?


僕は半身を起こし、ペットボトルを手に取る。

紗奈がペットボトルを僕から受け取ろうとするので、僕はペットボトルの水を口に含む。


そのまま、丁寧に口を重ねます。

この時、勢いよく重ねると溢れるので気をつけましょう。

少しずつゆっくりと舌を橋、いいやストロー?まあ、なんでもいいや。

ちょっと生温くなるかもしれませんが、気にしてはいけません。

愛がないと出来ません。

、、、、、、、、、、、、、、もきゅ。


移し終わったので、そのまま。

もきゅもきゅ。


「あっ。」

僕は正気に戻った。


「むー。」

紗奈が膨れっ面をするが、水はもういいらしい。

「ごめんごめん。」

ペットボトルをちゃぶ台の上に戻しながら、紗奈に謝り頭を撫でる。

すると紗奈はもう一度引っ付いて、腕の中でグリグリしてくる。


「それで面白味って?」

「ん〜っとね?小説書いてると、ふと面白くないなぁとか、面白くしたいなぁとか思うんだけど、そもそも面白味って何なのかなと思って。」

「前にも言った通り、その人それぞれ違うから、う〜ん、共通の面白さというのは難しいかもね。」

「うんうん、そうかも。

結局、自分が好きな話を書くのが1番ね!」

「そうかもね。でもまあ、多数派の意見を見てテンプレが生まれるのかもね。

繰り返しになったら飽きるから、また新しい面白味というテンプレが生まれるんだろうね。」


そこで紗奈はしがみ付いた状態で僕を見上げる。

「ところで狼颯太君。」

「はい、何でしょう、紗奈兎さん。」

そこで呆れたように目を半目にする紗奈。

でも可愛い。


「、、、やっぱり狼状態なんだね。」

「男は習性上、満月の夜には狼になるのです。」

「今日は半月だよ?」

、、、そうなんだね。


「、、、しょうがないなぁ。おいで。」

紗奈は引っ付いたままで、手を伸ばしてくれる。

お許しを頂けたようだ。

「、、、頂きます。」

「、、、召し上がれ。」

そうして、僕らは今日も口を重ねた。


もきゅもきゅもきゅもきゅ、、、。


そして、僕はふと思う。

あれ?紗奈、このイチャイチャが書きたいってこと?

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