140日目「考えたわ!」
「考えたわ!」
僕のベッドで僕と一緒に朝からゴロゴロしていた紗奈は、僕の身体に自分の身体を擦り寄せながらスマホでネット小説を読んでいたが、唐突にそう言った。
昨日と同じ体勢だけど、みなまで言わないように。
要するにずっとイチャイチャしてる。
イチャイチャ?
うんまあ、平常運転だ。
もきゅもきゅ?
そりゃあ、僕の顔が届く範囲に紗奈の顔があれば、もきゅもきゅが発生するのは、春が暖かいぐらいの自明の理というヤツである。
大丈夫、平常運転だ。
、、、分かってる。
大丈夫という人は大丈夫じゃない。
これは試験には出ないけれど、とても大事なことだ。
大丈夫と言ってしまう人は気を付けよう。
とりあえず、僕が気を付けよう。
とにかく、まず正直に言おう。
無理なのだ。
紗奈が手の届くところに居て、しかも僕の彼女で、結婚の約束をしているラブラブカップルである。
無理だ!
声を大にして言おう!
「無理だ。」
「えっ?」
「あ、いや、何を考えたんだ?」
紗奈は僕を見て、きゅーんと少し悲しそうに。
「ダメ?」
僕は即座に首を振る。
「ダメじゃない、ダメじゃない。
僕が色々とダメなだけ。」
「颯太が?」
「そう、僕が。」
よし、切り替えよう。
「何を?」
「紗奈にもきゅもきゅしたくて。」
あっ。
「あー。」
紗奈は困ったように笑う。
たはは、、、と笑われた。
さっきまでイチャイチャしてたのに、まだイチャイチャしたいと言われた紗奈は照れたように。
紗奈は僕の耳元に顔を近づけ、恥ずかしそうに言った。
「、、、後でね。」
「ぬおぉぉぉおおおおおおお!!」
僕は暴れずに、気持ちで悶える。
「、、、そ、それで、何を、考えたんだい?」
僕は驚異的な意思で話を切り替える。
紗奈は僕をジーッと見て、う〜んと考える。
「また明日でいいや。」
「え?」
紗奈は手を広げる。
「おいで!」
ああ、、、うん、まあ、、、。
「では、お言葉に甘えます。
後で必ず聞くから。」
「うん、分かってる。
これはこれで嬉しいから。」
紗奈は柔らかく笑う。
うわぁ、魅力的な微笑みで。
「、、、うん。」
僕は恥ずかしくなりながら、紗奈を優しく抱き締める。
恥ずかしさで紗奈の肩で顔を隠しながら。
「ははは、颯太が甘えん坊さんだ。
珍しいね。
うん、イチャイチャしよっか。」
僕は小さく頷いた。
「、、、うん、イチャイチャする。」
「はい、どうぞ。」
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