121日目「ちょいちょい、颯太。」

「ちょいちょい、颯太。」


洗面台の前で手を洗った後、紗奈にチョンチョンと肩をつつかれ呼び掛けられた。


とりあえず僕としては、紗奈をそのまま腕の中に引き寄せ、紗奈の後頭部を優しく抑え、口を重ねた。


「んっつ!?」

もきゅもきゅ。


ツゥー。


「それで、どうしたんだい?」


紗奈は、ぽけーっとしてポツリ。

「何言うか忘れた。」

そっか。


今度はそのまま唇を、口の端からついばむように重ねる。


ちゅっ、と割と大きめな音が出てしまい思わず、廊下に視線を向ける。

両親の姿はないことを確認。


「むー、颯太が狼だ。」


そうだね、オオカミ颯太に近づくと食べられちゃうよ?

手を繋ぎリビングに戻る。

両親は自分たちの部屋に戻ってるのか、姿は見えない。


いつものように2人でソファーに並んで、テレビを付ける。

「アツいあの森でも行く?」


僕が聞くと紗奈は交戦的な表情で。

「◯◯◯トゥー◯でバトろう。」

片方テレビで片方はスイッ◯。

この場合、僕が手元の方になる。


とりあえず、スイッ◯の電源入れて。

「あ、そうだ。」

「どうしたの、颯太?あっぐ。」


もきゅもきゅ、、、。


「んっつ。」


も一つ、もきゅもきゅ。


紗奈が赤い顔で僕の胸をそっと押し返す。

恥ずかしそうに口パクで『見られる』と。

色っぽくて可愛い。

リビングの入り口をチラリ。


問題なし。


そのまま迷いなく口を重ねる。

紗奈も抵抗することなく受け入れる。

もきゅもきゅもきゅもきゅ。


お互いの目を見ながら口を離す。

名残り惜しさにもう一度唇をしっかりと重ねる。


互いの顔が離れると、お互いに笑い合う。

口パクだけで『しょうがないよね。』と。


最後は声を出して笑った。


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