120日目「颯太、別れ、、、。」

「颯太、別れ、、、。」


僕のベッドの上で僕の足の間に入り、僕の首に両腕を回し、しがみ付きながら、、、要するに抱き着き、さらに僕の首筋をウチューと吸い付きながら、紗奈さなは、唐突にそう言おうとしたが、断念してすぐに口を奪いにきた。


もきゅもきゅ。


「ふ〜、ダメね。

これは検証出来ないわ。」


紗奈のいつもながらの奇行に、今回はちょっと呆然としてしまう。


「うん、何をしようとしたかよく分からないけど?」


紗奈ははふ〜と息を吐きながら、僕の胸にもたれる。


「お試しで別れた場合、どうなるかの検証よ。

でもダメ。

命を捨てるのと変わらないわ。

検証でもやれることとやれないことがあるわ。」

僕は紗奈の頭を撫でながら。


「検証でもその言葉は言わないで欲しいな。」

「、、、2度としないわ。

いい?颯太。

もし私がその呪いの言葉を吐いたとしても、それは私じゃないわ、偽物よ!

絶対に騙されちゃダメ、それは詐欺よ!」


「よく分からないけど、分かった。

あと僕も紗奈にそれを言うことは無いからね?」


紗奈は小さく頷く。

紗奈はさらにぎゅっとしがみ付くので、僕も紗奈を抱き締める。

「あー、ダメ。

想像しただけで怖くなった。

こんな風に一緒に居られなくなったら、私、もうダメ。

世のラブコメカップルは、こんな時間を捨てて別れを選ぶことがあるなんて、恐ろしい選択をするわね!?」


「いやまあ、ここまで普段から引っ付いてるラブコメカップルは、ほとんど居ないと思うけど?」


紗奈はイヤイヤと首を振る。


「無理、無理。

また少し減ったけど、別れた彼氏彼女ラブコメ作品の検証はまず不可能よ!

口にするだけで恐ろしいわ!」


震える紗奈の背を優しく撫でる。


「そうだね、もう試しちゃダメだよ?

まあ、言われたとしても受け入れないけど。」

「うん、受け入れちゃダメよ。詐欺だから。

あー、怖いわ、ちょっと泣きそう。」


本当だ。

紗奈は目も潤んで、それがまたより一層可愛く見える。

「これ以上変なことを言わないように、口を塞いでおくよ。」

「お願い、、、。」

懇願するように僕を見上げる紗奈に口を重ね、彼女を優しくベッドに横たえさせる。


片手を逃げられないように恋人繋ぎで。

もきゅもきゅ、、、。


「紗奈が逃げられないように繋いでおくね。」

「うん、お願い。」

また口を重ね、そのまま、、、。


もきゅもきゅ、、、。





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