108日目「幼馴染が他の人と同棲してるとか切ないね。」

「幼馴染が他の人と同棲してるとか切ないね。」


 僕のベッドの上で、仰向けに寝転がりながら、スマホで小説を読んでいた紗奈さなは起き上がり、僕を手招き。


 はいはい、と僕が近寄るとベッドに引き倒し、上に乗っかり僕の顔を押さえて、もきゅもきゅジュルジュル。


 紗奈ちゃん、ちょっと激しくない?


 腕で口元を男らしく拭い、コロンと僕に添い寝してから、、、そう言った。


 あー、つまり。


「寂しくなった?」

 ヨシヨシと頭を撫でると擦り寄ってきた。


「なんかね、自分に浮いた話が無くて、相手は急に色んな意味で『大人』になっちゃって、というの?

 現実では、ごく当たり前にあることなんだけど。


 こうやってネット小説、、、文字で読んでみると、また一層物悲しくなるというか、仕方ないことだし、それはそれで相手には幸せになって欲しい気もあるしで、複雑というか。」


「そうだね。」

 それだけ言って、僕は紗奈の頭を優しく撫でる。

 、、、きっと、僕よりも紗奈がそうなった可能性の方が、ずっと高かっただろう。

 男と女では、やはり女の方が早熟で。


 それに何より今更ではあるけど、紗奈は可愛い。

 クラスメイトの田中もそうだけど、男の方が放っておくことがない。


 そうなっていたら、なっていたで、僕は、、、気持ちを押し殺していただろう。

 今では、もうそれは不可能だけど、想いを交わすまでなら、何年、何十年も残るその想いを抱えて生きたことだろう。


 ふと気付くと紗奈が、いつのまにかスマホを置いて、僕の腕の中で見上げるように。

 ジーっと。


 紗奈は両手を伸ばし、ガシッとまた僕の顔を掴む。

「さ、紗奈?」


 紗奈はにじり寄るように、顔を近付ける。

 寝転びながらなので、一生懸命近付いてるのが少し可愛い。

 顔が届きそう届かない距離まで近付いて、よいしょうんしょと呟きながら、近付くので、僕の方が我慢出来なくなり、その柔らかい唇を重ねてしまった。


「んっつ。」

 もきゅもきゅ、、、。


 口を離すと、紗奈は不満げに口を膨らす。


「私からマーキングするの!」

 はいはい、と笑うとさらに身体を伸ばし、紗奈から口付けをしてくる。

「んっ。」


 もっきゅもっきゅもっきゅもっきゅ、、、。


ツィ、、、と互いを繋ぐ糸がどうにも。

「颯太はただの一度も他の人に渡さないから。」

「うん、そうだね。僕もだよ。」


互いの額を当てて、何故か可笑しくて僕らは笑う。

そして、今度は互いから唇を重ねる。

「「んっむ。」」

もきゅもきゅもきゅもきゅ、、、。

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