94日目「牧田君、一緒にどう?」

「牧田君、皆で一緒にどう?」


僕の席で正樹まさきと田中で話をしていたところに、佐竹芽依さたけめいさんがやって来て、開口一番にそう言った。


彼女は紗奈の中学の頃からの友人で、僕らの関係も知っている。

明日の休みに遊びに行くらしく、僕もどうかというお誘いだ。


間違いなく、僕らのことをネタにしたいのだろう。

向こうには、紗奈がごめんと手を合わせ、小牧環奈こまきかんなさんが、こっちに手を振っている。


適当に用事を作って、断っても良いけど。

何度か話をしたことはあるが、親しい間柄というわけでもない。


「皆というのは?」

男が居るなら、断固阻止するよ?

そこは心が狭い自信がある。


「私たち以外はこれから、誰か居る?」

つまり男側は、こちらで選別しろということらしい。

ふむふむ。


「俺!俺行きたい!」

僕のすぐ隣に居た田中が名乗りを上げる。

「田中〜?最初に紗奈を狙ってるとか、言ってたしなぁ、、、。」

僕は敢えて牽制する。


「いや、それは牧田と付き合ってるなんて知らなかったし、そんな雰囲気感じさせなかったからで、今は絶対、チョッカイ出したりしねーし!分かってんだろ!?」

田中が一生懸命抗弁する。


ここ最近、田中は僕のところに来て、幼馴染愛を語る。

もちろん、田中に幼馴染は居ない。


田中は、幼馴染のザマァ浮気反対派で、お気に入りの作品で、突然そんなシーンが出て来て凹んでいたので、信用することにした。


田中の言う通り、紗奈と僕は学校でそんな雰囲気はない。

話はするが、そこまで仲良さそうにしていたりする感じではない。

だから、僕らが付き合っていることを知っている人はクラスでも少ない。


「正樹も良いか?」

「おう。」

正樹は付き合いが良いので、すぐに返事をくれた。


「じゃ、また明日でということで〜。」


ひらひら〜っと手を振り、佐竹さんは紗奈たちのところに戻る。

美人系の顔立ちだが、サッパリした性格が男女とも人気の眼鏡女子だ。


紗奈と目が合い、ごめんね?と口パクしている。

僕は軽く笑い、良いよ、と頷いた。

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