92日目「颯太、私、気付いてしまったの。」

「颯太、私、気付いてしまったの。」


普段なら飛び込むように、僕のベッドに乗る紗奈はベッドではなく、そのまま僕のところに来た。


なお、既に紗奈の枕は僕のベッドに常駐している。

「ヨイショッと。」

紗奈はそう言って、一生懸命、僕ごと椅子を回転させた。


そして、僕にのしかかるようにしながら、一緒に椅子に乗る。


「気付いてしまったのよ。」

「何を、むぐっつ。」


もきゅもきゅもきゅもきゅ、も一つ、もきゅもきゅ、、、。


ちょっと激しくツィ〜っと糸が引いてしまう。

呆然と紗奈を見ると、また口を重ねてきた。

もきゅもきゅもきゅもきゅ、、、。


もきゅー。


「だ、大分、情熱的、だね?」


お互いにもきゅり過ぎないように注意してたはずなのに、どうしたことだろう。

ま、まさか、これが伝説のもきゅもきゅモード!?


いやいやいや。


「颯太、私は颯太のことが好きな訳じゃないの。」

「はぁ。」


新手のツンデレだろうか?

たった今、行動で愛情を示されたところだけど。

「検証の結果、気付いたの。

あ、これダメだって。」

「そうなんだ?」

なんの検証だろう?


何より紗奈が上に乗っていると、色々柔らかいし良い匂いがするし、とっても落ち着かない。

そして、つい先ほど重ねた唇が艶かしく見える。

僕の視線に気付いて紗奈は、お姉さんのような笑みでクスリと笑い、唇を重ねる。

さらにもきゅもきゅ。


お〜い、まずくないかー。


なんだか妖しい目をする紗奈。

「気付いたの、仕方ないんだって。」

「何、が、モッが。」

もきゅもきゅもきゅ、、、。


ぷはぁと2人で息を吐く。

紗奈が服の袖で僕の口元をぬぐい、自分の口元も拭う。


ほんと、何?

僕の頭は混乱状態。

ここまで紗奈が積極的なのは、今までなかった気がする。

、、、その前に僕が我慢出来なくなるからだな。


もう一度、紗奈は唇を近付け、呟くように。

「愛してる。」

言葉の意味が僕の中で広がる前に、また唇を重ねられ。


もきゅもきゅもきゅもきゅ、、、。


離れて紗奈は自分の服の袖で口元を拭う。


「止まんないよー。颯太〜。」

あ、いつもの紗奈だ。

妖艶な感じが消えて、いつもの紗奈の雰囲気。


「そりゃあ、まあ、、、。」

「止まんないのよ、颯太。どんなに我慢しても。

だって、そうでしょ?本当は一日中だって、もきゅもきゅしてたいんだもの。」

「あー、そうかも。」


紗奈も僕も、結局のところそうなのだ。


「だから、ね?諦めよ?もきゅもきゅはもう仕方ないから、遠慮せずもきゅもきゅしないとどうにもなんないよ?」


遠慮せずもきゅもきゅすると、それこそどうにもならない気がするが、確かに無理なものは無理だ。


我慢出来ない。


今度は僕が紗奈の後頭部に触れ、顔を寄せさせる。

紗奈も抵抗せず、されるがままに口を奪われる。


もきゅもきゅもきゅ。


そうやって、互いに笑ってしまった。

「颯太〜、もう仕方ないよ。私たち、好きあってるんじゃなくて、愛し合っちゃってるんだもの。

もうキスと同じレベルで、もきゅもきゅするしかないと思う。」


「、、、まあね。2人で居る時は、誰に迷惑かける訳でもないから。

それに、、、どうしようもないね、我慢なんて出来ないほどに。」

僕の言葉の途中で、紗奈が食らいつくように唇で僕の口を襲う。

「あんむ。」

負けじと僕も反撃。


もきゅっと。


そうして、またお互いで笑ってしまった。

「ほんと、しょうがないね。」と紗奈は微笑む。

「だね。」

紗奈が可愛くて、言うと同時に唇を重ねた。

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