91日目「愛ってなんだろう?」

「愛ってなんだろう?」


僕のベッドの上で、僕の足の間で僕を背もたれにしながら、僕のあげたタヌキのポン太くんぬいぐるみ(僕に似ているらしい)を抱えて、スマホで小説を読んでいた紗奈は唐突にそう言った。


「愛してるよ。」

「私も愛してる。

、、、そういうことじゃなくて。んっ。」


紗奈の顔をこちらに向けさせ、一通りもきゃもきゅして口を離す。


「正直言って、カ◯ヨ◯コンの後のピックアップの方が僕にとっては心に響く作品が多い気がする。」


「、、、んー、カ◯ヨ◯コンの中心が、長編中心だったからじゃない?

まあ、私もそう思うかな。

良くある寝取りラブコメかと思ったら、全然違う良い話もあるし。」


「現代ドラマとかかぁ。

そう考えると、深く考えさせられるね。」


紗奈は頷く。


「結局、どんなテーマもそれをどう伝えるか、なのよね。

こうして、愛を問われると切なくも考えさせられるし、確かに現実は残酷で、必ず救いがあるとは、、、。」


あ、紗奈が落ち込んだ。

僕は紗奈の頭を撫でる。


「そうだね、現実はなかなか上手くいかないかもしれない。

けれど、笑えることも沢山あるからね。

良い作品を見ると、そういうことにも気付けるよね。」


紗奈はコクンと頷く。

僕は紗奈を僕の胸にもたれさせ、その状態で包むようにして頭を撫でる。


軽く彼女の頭にキスを落とす。


「どうして、人は大事なことを見失うんだろうね?」


「うーん、そうだね、、、。

やっぱり、自分でも何が大切か分からなくなるからじゃないかな?

作品でイメージしてもらうなら、テーマがブレるというのかな?

一つの自分の中のテーマに沿って生きるのは、そう簡単なことではないよね。」


「そっか。そうかもね。

、、、私の人生のテーマは簡単ね。

颯太と一緒に居ること。」


僕は紗奈に微笑む。


「そうだね。僕もそうだよ。

だから、そのためにしなければいけないことはしっかりしないとね。」


ん、と紗奈は顔をこちらに向ける。

僕は紗奈と唇を合わす。


「にへへ〜、、、。」


紗奈は顔を緩ませ、そのまま僕にのし掛かった。


紗奈は自分の手のひらを僕の手のひらに合わせて、擦り付けるように丁寧に絡める。

柔らかい感触が手から伝わる。

僕はそれを苦笑いで受け入れた。

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