67日目「ラブコメの好みって、、、、。」

「ラブコメの好みって、、、、。」


僕のベッドの上で、僕の枕を抱えながら寝転がって足をバタバタして、スマホで小説を読んでいたはずの紗奈さなは唐突にそう言った。


僕はペンを持ったまま、椅子をくるんと回転させて紗奈を見た。

「好みって?」


僕が尋ねると紗奈もこちらを見た。

「あったんだな、と思って。」


僕は首を傾げる。

「そりゃ、あるでしょ?」

「、、、私、自分を雑食系だと思ってた。

寝取りとか浮気とか鬱展開とか例外は除くけど、なんでもイケる口だと思ってたのよ。」


僕は紗奈に隣に腰掛ける。

この時、紗奈に接触しないように注意。

触れると我慢出来なくなりそうだからだ。


昨日はイチャイチャモードが発生して、、、というか発動させたせいで話が出来なくなったが、つい先程まで僕と紗奈で話し合いが行われた。


イチャイチャモード発動条件があまりに緩すぎたことが、話し合いの理由だ。


「颯太はん?わてな、あんさんの子を産む覚悟は出来とりますえ?

せやから、大事なんは、あんさんの意思どすえ?」

なんで、京都弁、というか舞妓さん言葉(?)というツッコミは僕もせず。


「、、、はい。」とお返事。

紗奈は分かっているのだ。

紗奈が高校生活を送れないようなことになれば、他ならぬ僕が気に病んでしまうことを。

もちろん、そうなったら頑張る、頑張るがそういう問題ではないのだ。


ここで改めて、イチャイチャモードが何かを説明せねばなるまい。

一言で言うと、理性がなくなるイチャイチャであり、それらの一般的なは付き合いたてのカップル期ではなく、新婚夫婦のハネムーン時期である。


如何に危険か分かったかな!?

という訳で、このままでは無制限に発動してしまうので、1人1ヶ月に1度の発動で留める条約が結ばれた。


これが僕らで言うイチャイチャモード条約である。

そのままやんけ。


それはそれとして、、、。

紗奈もズーンと沈む。


「別れたカップルのやり直しの場合で、ラブコメらしいジレジレな感じで、テンポも良くまさにラブコメの良さが出てる話とかあるでしょ?

でも、それって、、、。」


「そのカップルが行うべきは、好きかどうかの確認よりも、別れた原因と今後をどうあるべきか、そこを2話し合って、解明して、やっと再スタートかなぁ。


そこが話し合われないと、安心してジレジレを見てられないというか、、、好きか好きじゃないかだけで再度付き合っても同じじゃないの?と思うね。

最後には解決させる、とは思うけど。」


紗奈は頷く。

まあ、僕も紗奈の言わんとするところは分かる。

安心して読めないということだ。


「でも、ラブコメってそういう感じあるよね?」

でないと盛り上がらないというか。


「、、、そうなのよ。

そこが気になる私は、大人になってしまったということなのよ、、、。

まだ16なのに。

颯太、責任取って結婚して。」


「いや、結婚するけど、僕のせい?」


僕の責任と言えば、そうなのかな?かな?


そこで、紗奈はガバッと身体を起こし、言った。

「颯太!イチャイチャモード発動よ!!」

「取り決めしたばかりで発動早いよ!?

、、、まあ、僕が言えた話ではないけど。」


椅子から立ち上がり、紗奈の隣に座る。

「明日から気をつけましょ、明日から。」


明日から本気出すとか言う場合って、まず本気出せないよね?ということは口にせず、紗奈に口付けをした。


まあ、、、本当に気を付けていこう。

紗奈を不幸にすることだけは、誰よりも僕自身が許せないことなのだから。

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