68日目「私、ユーチューバーになって人気者になる。」
「私、ユーチューバーになって人気者になる。」
僕のベッドの上で、僕の足の間で僕を背もたれにしながら、僕に似ているという噂(断じて似ていない!)のタヌキのポン太くんぬいぐるみを抱えて、スマホで小説を読んでいた紗奈は唐突にそう言った。
「もうそろそろ、辞めといた方がいいと思うよ?」
一時はどこもかしこもユーチューバー人気だったが、規制が入ったことを皮切りに、一気に下火になった。
ツイッターとかもそうだけど、TikTokなど情報発信で広告収入を貰って生計を立てるのは、やはり難しい。
「一時はラブコメでもユーチューバーネタ多かったのにね。」
紗奈はスマホをいじりながら、そう言った。
特に残念そうに見えないところを見ると、本気ではないようだ。
「ラブコメは高校年代が主流だからね。学業と並行して出来ることはどうしても限られる。それに学生起業よりは手軽に感じるけど、なかなか。」
「カ◯ヨ◯でもロイヤルティプログラムとかあるよね。」
「あー、そうだね、それの基準で行くなら、ユーチューバーで利益出る人は、カ◯ヨ◯で言うと、月10万PV超える人って感じなのかな?」
僕もあくまでイメージだけで話している。
「月10万PV超えても4000〜5000だっけ?
お金を稼ぐって厳しいね。」
「ユーチューバーもカ◯ヨ◯も企業からの広告収入をどう得られるかということを考えないとね。
楽して儲かるというのは、ほとんどが詐欺だから。」
「詐欺注意!寝取りを仕掛ける悪い奴と一緒!!
私、気をつけます!!」
紗奈はこちらを振り向いてビシッと敬礼。
可愛かったので、唇を奪っておいた。
「ユーチューバーもカ◯ヨ◯も発信すべき、自分の何かが無いとどうしようもないからね。
まずは、自分磨きが第一だよ。」
ふー、とため息を吐きながら、紗奈は僕に再度もたれる。
「そっかぁ〜、、、お腹が大きくなっても出来る仕事を探したかったけど、なかなか難しいなぁ〜。」
僕は紗奈の頭を撫でる。
結婚というのは、やはりリアルにお金のことを考えないといけない。
責任を取るというのは、言葉だけではまったく意味がないのだから。
「そうだね、お金の勉強は学校ではあまり教えてくれないからね。
色んな本や話を聞くのが大事だよね。」
「そうね!とりあえず、カ◯ヨ◯でお金の勉強するわ。」
「なんでカ◯ヨ◯で!?
、、、と思ったけど、創作論とかには、確かにそういう話もあるね?」
「でしょー?じゃあ、ほら、颯太も勉強勉強。」
そう言って、紗奈はカ◯ヨ◯の気に入った話を僕に見せる。
それが可愛くて僕はニコニコ顔で紗奈の頭を撫で続けた。
、、、とりあえず、なんとか今日はイチャイチャモードの発動を抑えることが出来た。
日々、これ忍耐である。
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