66日目「ラブコメってなんだろう?」

「ラブコメってなんだろう?」


僕のベッドの上で、僕の枕を抱えながら寝転がって足をバタバタして、スマホで小説を読んでいたはずの紗奈さなは唐突にそう言った。


僕はすぐにペンを置いてくるーりと振り返る。

「恋愛コメディ。」


言いながらも紗奈の綺麗な脚が目に入るので、思わず目を逸らす。


イチャイチャモードについて、僕らは昨日の夜にある決め事をした。


イチャイチャモード発動は1年に1回。

、、、すぐに双方の話し合いにより、半年に1回となった。


記念日などは、イチャイチャモード発動は可とする。

、、、すぐに双方の話し合いにより、どうしてもイチャイチャモードを発動させたい時は、双方の話し合いにより発動する。


最大で1ヶ月に1度の発動に限る。

、、、すぐに双方の話し合いにより、喧嘩時もしくは双方の同意が得られた場合は、イチャイチャモード発動を可とする。


なお、イチャイチャモードではない軽度のイチャイチャは、常時可能とする。


このように厳しい条件により、僕らはなんとかイチャイチャモードから抜け出すことが出来た。


だが、いつなん時イチャイチャモードが発動してしまうか分からないので、油断は禁物である。

これについては、僕の方が紗奈よりも自制する自信がない。

だって、男の子だもの。


これらの条件に、実際に相手に求められたら、僕も紗奈も断らないという事実は、あえて無視してある。


「私は前から思ってたことがあるの。カ◯ヨ◯では、恋愛タグ作品の方が、コメディ上手よね?」

「作品にもよるから一概には言えないだろうけど、なんとなく分かるかな?

悪役令嬢物とか大体がまずコメディ要素あるからね。」

あのジャンルは、紗奈も僕も結構好きだ。


「反対にラブコメは、ハーレムとか寝取りとか浮気とか、時には、、、。」

紗奈と目が合ったので、僕は首を横に振る。

紗奈の言いたかった部分は分かる。


読者を恐怖に叩き落とす作品が、何故かラブコメに入ってくることがある、つまりそういうことだ。


そのダメージは計り知れず、あの時ばかりは、まだ同居前だったが、紗奈が僕の部屋にお泊まりして夜通しゲームやら完全なギャグ小説などで心を癒した。


良いのだ、そういう作品でも。

ただし、ラブコメに入れるのはやめてくれ。

ラブコメはコメディだ。

入れるなら、せめて、恋愛だ。


これについては、紗奈と真剣に話し合った。

何故、そのような悲劇が起こったか。

そう、、、カ◯ヨ◯のラブコメは、男性目線の恋愛を主とするとあるからだ。


言いたい雰囲気はなんとなく分かる。

分かるが!


「颯太!」

ハッと、僕は顔をあげる。


気付くと紗奈が珍しくベッドを降りて、椅子のところまで来ていた。

僕を上から心配そうに見る紗奈は、相変わらずとても綺麗だった。

紗奈の唇ってピンク寄りだよねぇ〜。

ちなみに僕の頭もピンクになりそうで危ない。


僕は頷く。

紗奈も頷く。


ガシッと紗奈の手を取る。

紗奈はあれ?という顔。


僕はにこやかに紗奈をまた見る。

「イチャイチャモード発動で。」


ちょっと僕の方が自制出来そうにありません。

どうしよう?

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