65日目「開眼!イチャイチャ道!!」

「開眼!イチャイチャ道!!」


僕の部屋に入るなり、そう叫びながら僕のベッドに枕片手に紗奈は飛び込んだ。


僕は椅子をすぐに回転させ、紗奈の方を見る。

「何それ?」

ちなみに今すぐ、近寄りたいけど、例のモードが発動してしまうので、距離を取っている。


今日は義母さんが先に帰って来ていたので、玄関先での発動は免れた。

だが、まだ予断を許さない状況だ!


紗奈はそんな僕の内心を知ってか知らずか、ベッドの上で綺麗な足をバタバタさせる。


「、、、この1週間大変だったわ。」

「大変だったねぇ、、、。」

1週間前に紗奈が、イチャイチャしようと言い出してから大変な事態になってしまった。

イチャイチャモードという新たなワードまで、僕らの間に出来てしまった。


まさか、僕らのイチャイチャレベルがそこまで高まっているとは、認識不足だった。


「そこでようやく私は気付いたわけよ。

、、、私はイチャイチャモードをのよ!」

「あ、そういうことなんだ。」


最初に紗奈が何故イチャイチャについて話し出したかと言えば、単純にそういう作品が読みたかったからだと。


「それで話は戻るんだけど、イチャイチャモードに至るには条件があるよね。」

「、、、そうだね。

まあー、最大の条件はことだろうね。」


紗奈は顔だけこちらに向け、えへへ、と嬉しそうに笑う。


「つまりイチャイチャモードを読みたいけど、そこまで到達する作品って少なくてさ〜。


イチャイチャタグが付いてても、それがハーレムだったり、覆盆が最初にあったり、浮気があったり、暗い話があったり、そういうの見るとへこんじゃうから避けると、さらに少なくて〜。」


「あ〜、、、。まあ、イチャイチャモードって発動するとほとんどエンディングだもんなぁ〜、、、。

もしくはイチャイチャモードの裏側で嫌〜な何かが進行してたり、、、。

物語的にはいきなりトップスピードに乗る訳にもいかないから。」


そこで紗奈はぴょこんと起きる。


「そうでしょ!そうでしょ!そうなのよ、、、。

求むイチャイチャモード発動作品、、、。

と言っても、すでにイチャイチャモード発動作品は大体目を通してるし、、、。」


「あー、だから、カ◯ヨ◯コンの話をイチャイチャの話の時にしたのか。

新しいイチャイチャ作品を開拓しようと。」


「そう!!」

「、、、で、見当たらない、と。」

バタリと枕に顔を埋める紗奈。

「ああ、、、麗しのイチャイチャ作品は何処、、、?」


紗奈が力尽きたところで、僕は椅子から立ち上がる。


紗奈がバッと身体を起こし、壁際に逃げる。

「だ、だめよ!?颯太!今近寄ったら、イチャイチャモードが発動しちゃう!」

「そんなに繊細な発動スイッチなら、部屋に来た時点で無理じゃない?」


僕は困り顔になって、ベッドに腰掛ける。

「嫌がる紗奈に触ったりしないよ?」

「何言ってるの、颯太。

触って欲しいから発動するのよ。」


壁際に逃げたのがなんだったのか、あっさりと戻って来て、僕の腰に手を回す。


そして、紗奈はまた、えへへ〜と嬉しそうに笑う。

ヨシヨシと頭を撫でると紗奈がふっつうにキスをせがんで来た。


これイチャイチャモード抜けるの、やっぱり無理じゃないか?

まあ、いいかと思いつつ、僕と紗奈は口付けを交わした。

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