60日目「颯太君、イチャイチャとはどんな状態を言う?」

「颯太君、イチャイチャとはどんな状態を言う?」


僕のベッドの上で、寝転がって足をバタバタして、スマホで小説を読んでいた紗奈さなは唐突にそう言った。


僕は持っていたペンをピタリと止めて、顔だけ紗奈の方を向く。


「その話、終わってなかったんだ?」

3日連続同じ話って初じゃないかな?


紗奈は僕が振り向くと待ってましたとばかりに、自分の隣をバシバシと叩く。


早く早くと呼ばれたので、片付けをして転がる紗奈の隣に腰掛けた。


捕まえた!とばかりに腰に手を回し、僕の脇腹にぐりぐりと顔を押し付ける。


「どうしたんだ?」

僕が尋ねると紗奈はキッと、僕を睨むように見上げる。

こういう時には、睨むのを注意する代わりに口付けをしている。


「ちがーう!」

紗奈が引き続き、キッと睨むので、さらに口を奪う。


もっきゅもっきゅ。


ぐでーんと紗奈はのびる。

「それで?どうしたの?」

「ううう、、、颯太がいじめる〜。」

失礼な可愛がっているだけだ。


「この間からイチャイチャしてるけど、足りない?」

「、、、足りない。

毎日たった3時間しかイチャイチャ出来ない。」

普通の彼氏彼女からしたら十分長いけどね。


紗奈の言わんとするところは分かる。

この間の正月が致命的だったのだ。

年越し前も年越し後も、ずーっと引っ付いていたせいだ。


幼馴染として、全く関わりがない訳ではなかったけど、お互い受験もあったし、少しだけ疎遠になった時期でもあった。


対して、今年は彼氏彼女だし、家族だし、同じ家だしでそれを口実に、ずっと紗奈は僕に引っ付いていた。


「うう、、、颯太エネルギー欠乏症なのよ、、、。」


「すでに中毒者のようだ。」

「あら?颯太さん、勘違いしないでくれるかしら?

最初っからよ?

今までは我慢してただけよ?」

はいはいと頭を撫でて、キスを唇に落としておいた。

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