59日目「イチャイチャとはなんぞや?」
「イチャイチャとはなんぞや?」
僕のベッドの上の、そのまたさらに僕の足の上で、紗奈はそう言った。
「昨日、実践したところだけど?」
僕は首を傾げる。
ぐぬぬ、と紗奈は唸りながらも、それ以上の追及を避ける。
昨日の今日である、学習したらしい。
間違いなく、しばらくしたらまた忘れるだろうけど。
「違うのよー、これよこれ!」
「カ◯ヨ◯コン?」
「そうよ!これを見ながら思ったの。
イチャイチャとは、こうなんて言うの?ジレジレがあって、こうブワーっと解放されてこそ、真のイチャイチャとなるのよ!」
うん、よく分かんない。
「つまり、思った訳よ。
物語には、それに至る経緯が必要なのよ。」
「うん、うん?うん、まあ、そうかもね。
僕らはかなり早くからイチャイチャしてる気もするけど?」
同居した初日から、それとなくイチャイチャしてなかった?
「私たちはいいのよ。
16年も前置きを引っ張ったから。」
「0歳から数えるんだ。」
「当たり前よ。
生まれ落ちたその日から、私たちはイチャイチャのための準備を始めていたのよ。
それにまだたった16年、、、口惜しい。
前世さえ覚えていれば、さらに加算出来るのに。」
悔しそうにする紗奈。
とりあえず前世も一緒に居たのは確定らしい。
まあ、嫌ではない。
、、、正直嬉しいと思うあたり僕も大概である。
「それでなんでカ◯ヨ◯コンでそう思ったの?」
「いきなりイチャイチャしてる作品が、ランキング上位に来ている気がしたから、なんとなく。」
それただ単に紗奈が、いきなりイチャイチャしている作品を狙って、見に行ってるからだよね?
「イチャイチャが!イチャイチャ成分が欲しいのよ!
あ、待って颯太、違うから、あくまでも小説の話だから。」
うんうん、分かった。
僕は紗奈の頭を優しく撫でる。
紗奈は猫のようにゴロゴロと懐く。
情熱的なイチャイチャもあるけど、穏やかなイチャイチャも大事だ。
「でね?こう安心してジレジレしつつ、でもそこはかとなくイチャイチャするのが見たいけど、それってそれなりに文字数が無いとそういう流れにならないでしょ?
だからカ◯ヨ◯コンで、見当たらないかなぁと思ったんだけど。」
とりあえずもういいらしい。
「イチャイチャについての詳細な検討はまた今度ね、、、。」
撫でられて安心して眠くなったらしく、しばらくすると、くーくーと小さな寝息で紗奈は眠りについた。
お休み、紗奈。
僕は紗奈の頭に優しくキスを落とした。
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