57日目「何故、ラブコメは高校年代が主流か。」

「何故、ラブコメは高校年代が主流か。」

珍しく紗奈は、タヌキのポン太君ぬいぐるみを助手のように隣に座らせ、ベッドの上で座りながら呟いた。


僕が椅子をクルッと回転させると、ビシッと指を僕に突きつける。


颯太ふうた君!答えたまえ!」


「うん、紗奈、今度は何を見て、そんなテンションになったの?」

「ううん、特に今回はネット小説見て閃いた訳じゃないよ?

ずっとず〜っと疑問だったの。」


「そうかそうか、それで何か答え出た?」


隣のポン太君ぬいぐるみの頭をポンと叩き、さらに頭をぐりぐりと潰した後、おもむろに僕に告げる。

ポン太君暴行事件である。


「私は騙されていたの!あの変な作者に!

ラブコメは付き合った後が描かれることが少ない、だから、イベントの発生し辛い大人世代より、揺れ動く高校年代が多いのだと!」


「あの変な作者そこまで書いてたっけ?」

「なんかそんな気がしたの!」


酷い冤罪な気もするけど、まあいいや。

どうでも良いので、僕はそれについては触れずに、紗奈にそれで?と続きを促した。


「私は開眼したの!つまり、高校を卒業しちゃうと、こう、リアルが近づくわけよ!

生きるために働かないといけないし、結婚とかも視野に入れないといけないし、身体の「そこはストップしようね!」、、、つまり、そういうことで、なんかこう、世知辛くなりやすいの!」


まあ、言わんとするところは分からなくもない。

紗奈の興奮は冷めやらず、さらに怒涛の進撃を仕掛ける。

一体何があったんだ!?

「それによ!ハーレムとか、現代日本社会に出てやってたら、ただのク「ちょ、ちょっとそこも待とうか!」、、、何よ?」


「ま、まあ、そこを追求しちゃうとラブコメは身も蓋もないというか、まあ、ほら、ラブコメはコメディな訳だから。」


ジトーっと紗奈から圧力にある視線を送られる。

な、なんで?


「まさか、颯太、、、ハーレム好きなの?」

「いや、嫌いだけど?」


視線の圧力は消えるがまだ見て来る。

「まあ、いいわ。これについては後日じっくり話しましょう。

それで、、、なんだっけ?

あ、そうそう。

つまり大人の恋愛はリアルで難しいなぁっと。」


「そうでもないんじゃない?」

僕はすぐにそれを否定する。

紗奈は本当に不思議そうに首を傾げる。

「どうして?」


「今、言った通りさ。

色々忙しかったり、結婚とか見えて来るから、考えないといけないことは多いよ?けど、その人が好きかどうかについては、シンプルに行かないと、、、迷ってる余裕なんか無いんじゃないかな。

、、、当然だけど、人によるんだけどね。


後、僕はすでに一切迷ってないからね?

紗奈一筋で生涯決めちゃってるからさ。」


良いか悪いかなんて分からないけれど、人生を賭けてもいいと決めている。


「ハウ!」

突然、紗奈は胸を抑えて倒れた。

顔を覗きに行くと絡め取られた。

とりあえず、僕の返事に満足したらしい。


最後に僕は付け加えた。

「それと一か月前ぐらいに同じような話、したよ?」

「そうだっけ?」

紗奈は刹那に生きる女かもしれないと思った日であった。

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