53日目「チョロインじゃないから!」

「チョロインじゃないから!」


私は、1日のルーチンを終わらせ、いつものように、枕を持って颯太ふうたのベッドで颯太の枕を太ももで挟み、スマホで小説を読みながら唐突にそう言った。


「突然、何?」


今回は颯太は、すぐにくるりんと椅子を回転させてこちらを見た。


内心で小躍りしながら、キラキラした目で颯太を見て、私は宣言する。

「なんとなく!」


颯太はため息を吐いて、私の隣に座ってくれる。

逃がさないと颯太の腰に手を回す。

「勉強終わった?」

「終わったよ。

紗奈から聞いたやり方が、上手くいけそうだから、少しは勉強時間を短縮出来そうだよ。」


「やったぁあ!」と喜んで更にしがみ付くと、口にキスされた。


、、、、、、。


フォォオオオ!!!


こ、この男やりやがったぁあ!


僅かな隙も見逃さず、この紗奈ちゃんのプリチーなお口を奪いおった!

油断も隙もない!

うれしいぞぉぉぉおおお、じゃなかった!

おそろしいぞぉぉおおお!


、、、違う、違うからね?

チョロインじゃないからね?


チョロインとは、どんな相手であってもチョロいのであって、私がチョロいのは、颯太限定だから。


だから、私はチョロインじゃない!


颯太は私の頭を優しく撫でる。

「チョロインって最近、聞かないよね?」


そういえば、そうかも?


「でも、屋上で突然、告白してくる美少女って、チョロインじゃないの?」


颯太はうーんと考え、

「どうなんだろう?人が好きになる理由はそれぞれだけど、果たして告白される男がそこまで魅力的なのかは、議論の余地があるかもね。」


「そうね。でも、私なら理由がなくても颯太に告白するかもしれないわ。

、、、いいえ、するわね!」


疑う余地はない。


私はキリッと颯太を見上げる。


「颯太!告白よ!告白をするわ!」

「はいはい。」

頭を撫でられる。


む〜、見てろよ!


「ふふ、颯太っあ!」

そこに颯太が耳元で。


「好きだよ。」

「わ、私も!」


顔を起こしたところで、上からチュッと口に。

ま、負けたぁ〜。


ふにゃぁあと私は崩れ落ちた。

チョロインじゃ、ないからねぇ〜。

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