50日目「どうして別れてすぐに、付き合わないのかな?」

「どうして別れてすぐに、付き合わないのかな?」


僕のベッドの上に寝転がり僕の枕を抱えて、自分の枕を足で挟みながら、スマホで小説を読んでいた紗奈さなは唐突にそう言った。


僕はこの感じも久しぶりだなぁ、と思いながら数学の課題を終え、くるりと椅子を回転させる。


「どういう意味?」

「好きなら、即付き合い直せば良いのに。私なら颯太と離れたら我慢出来ない。」


僕は首を傾げる。

紗奈が手招き。

よっこいせと僕は紗奈が転がる隣に座ると、紗奈は僕の腰に手を回す。


「普通は別れたら、そう簡単にはよりを戻したりしないよ。」

「でもでも!好き合ってるんでしょ?もしも!その人が他の人に!なんて考えたら我慢出来ない!」


僕の腰に回す紗奈の腕が、ぎゅっと力を込めてくる。


ヨシヨシと頭を撫でておく。


「別れた直後は別れた理由で、お互いに感情的になってたりするからね。

それに別れるという行為は、疲れるからすぐやり直す気力はないんじゃ無いかな?

そこは喧嘩とは違うし。

それに1番は別れた原因を解決しないと、何度でも同じ事が起こるかも知れないからね。」


「やだ。」


「うん、とりあえず、僕たちのことじゃ無いから。」


不思議な駄々っ子の仕方だな。

、、、いつも通りか。


「ねえ?颯太は私と一緒に寝るの嫌い?」

「うーん。実際、無理だと思ってたけど、実はかなり大丈夫。布団は広々使いたいタイプだと自分で思ってたけど、、、一緒は嫌じゃないな。」


正直、自分でもそれは意外だった。


「私は颯太とずーっと一緒でも平気。むしろ、一緒がいいかな。」


「そ、そうか。」

「うん。ワンルームでずっと一緒とか最高かも。」

それは多数派の意見ではない気がする。


まあ、僕の場合は、、、。

「僕は、紗奈限定で大丈夫な気はする。」

多分、そうなんだろう。


僕らは良くも、悪くも(?)、お互いを知り合っているからなのからなのか、、、ただの相性かな。


「そこはまあ、人それぞれなんだろうね。」

僕の言葉に嬉しかったのか、紗奈は僕の腰に顔をぐりぐり押しつけてえへへ、と笑った。

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