48日目「べ、別にアンタなんか好きじゃないんだからね!」

「べ、別にアンタなんか好きじゃないんだからね!」


僕のベッドの上で僕の足の間に入り、僕の首に両腕を回し、しがみ付きながらスマホで小説を読んでいた紗奈さなは、唐突にそう言った。


僕は豆単語を開く手を止める。

「この体勢でスマホで、小説読むのしんどくない?

あと、まだ続いてたんだ、ツンデレネタ。」

「うん。」


言いながら、すりすりと身体全体を擦り付ける。


猫のマーキング?


「あんたなんて、別にただの幼馴染なんだからね!」

全力で甘えつきながら、紗奈は何故かそう言う。


「うん、とりあえず僕にどうしろと?」


紗奈は僕の顔をキラキラした目で見ながら、

「どう?ツンデレ可愛い?」

「うん、とりあえず紗奈が可愛いかな。」


「えー。ツンデレは〜?」

「今度は何の小説?」


紗奈はそれに対して、ふっ、と寂しそうに笑う。


「ないの、、、。古き良きツンデレは滅びたの、、、。

きっとツンデレは経済とリンクしているのよ。」


「あー、冷たい冬の時代は互いに気持ちの余裕が無いからねぇ。

ツンデレは、ツンすらも包む深い懐があって初めて成り立つかもね。」


紗奈は遠くを見つめ、涙ぐむ。


え?そんなに!?


「サヨナラ、私たちのツンデレ、、、。寂しいけれど、いつか誰かがまた秀逸な作品を作ってくれるわ。


その時はきっと、相手は幼馴染よ。」


紗奈が今日は壊れてる。

いつもか。


「そんな訳で!」

ガシッとまた紗奈は僕にしがみ付く。


しがみ付きながら、もぞもぞ身体を押し付けてくる。

僕の忍耐を試してる?

「あ、あんたなんか、私に引っ付かれてればいいのよ!」


「とりあえず、紗奈。言いたいだけだよね?」

「うん。」

「とりあえず、少し離れようか。そろそろ我慢が限界だ。」


「うー。」

と言いながら、顔を赤くしながら、紗奈は僕を下から睨みながら離れる。


その顔で見られる方が危ないな。


とりあえず、ぎゅっと抱きしめておいた。


「ふ、颯太!すと、ストップ!

ツンデレは攻めに弱いの!

あふ〜。」


顔を真っ赤にしてジタバタ。


うんうん、それもまた由緒正しきツンデレよ。


「うー、颯太ぁ〜。ずる〜いー。」

ふにゃぁと言いながら、赤い顔で紗奈は崩れ落ちた。

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