47日目「相談があるんだ。」
「相談があるんだ。」
僕と紗奈は手を繋ぎ、父さんと義母さんに声を掛ける。
僕と紗奈はついに、680日後結婚することを伝えるのだ。
父さんはそれに、真剣な顔で頷く。
「座りなさい。」
僕と紗奈は椅子に腰掛け、父さんと義母さんに向き合う。
僕は紗奈と見つめ合い、互いに頷く。
先に口を開いたのは、父さんだった。
父さんは、口の前で腕を組み、思い詰めるように少しだけ目を閉じて開く。
「、、、いつかは、こんな日が来るとは思っていた。
思いの外、早かったが、それも仕方のないことだろう。
心配しなくていい。
俺たちは家族だ。
父さんも母さんも覚悟は出来ていた。
、、、それにこれは目出度いことだ。
皆で喜ぼうじゃないか。」
父さんは義母さんと頷き合う。
「ありがとう、父さん、義母さん。」
「ありがとう。義父さん、お母さん。」
2人で両親に頭を下げる。
父さんも義母さんも笑顔で頷く。
そこで父さんは話を続ける。
「それで、高校はどうするんだ?
父さんとしては、出来れば、紗奈には休学を少しだけしてでも卒業して貰いたいんだが、、、。」
ん?
僕と紗奈は顔を見合わせて、首を傾げる。
「いや、普通に卒業まで通うつもりだけど?」
父さんも義母さんもギョッとした顔をするが、すぐにため息を一つ。
「難しい、ことだが、、、学校側に協力してもらわないとな、、、。」
んん?
「特にまだ学校側には、説明要らないんじゃないかな?
あー、確かにいつかは言った方がいいと思うけど。」
バンっとテーブルを叩き、父さんは勢いよく立ち上がる。
「颯太!お前がそんなことでどうする!
お前は父親になるんだぞ!」
「んんん?」
キョトンとする僕と紗奈を見て、父さんはピタッと動きを止める。
そして、ゆっくり口を開き、、、。
「子供が出来たんじゃないのか?」
「違うけど?」
ストンと父さんは座る。
「え?じゃあ、なんの相談?」
「いや、僕と紗奈は680日後に互いが18歳になったら、結婚したいと思って。」
「うん、良いんじゃないか?」
だから?と両親は首を傾げる。
「いや、それだけだけど?」
父さんは僕に詰め寄る。
「え!?颯太、お前まさか、紗奈と結婚しないかもしれなかったのか!?
お前、それはヒドイだろ!」
「僕はそのつもりはあって、覚悟もあるけど、紗奈は可愛いから、良い出会いがあるかもしれないだろ?
、、、だから。」
そこで義母さんは、目に涙を浮かべ、首を横に振る。
「ふう君、、、。無理よ無理なのよ。
紗奈はふう君に振られたら確実にストーカーになるか、ふう君を監禁するわ。
私たちが再婚する一年前、隣の家を引き払おうかと思ってたのよ。
それを紗奈は断固として反対して、もしも引っ越すならふう君と既成事実作って子供を作ると宣言したの。
本気の目だったわ。
それを相談してる内に、私たちも絆を深めて再婚して一緒に暮らそうってことになったの。」
そうだったのか、、、って一年前って中学三年。
、、、やる。
紗奈はやると言ったら必ずやる。
「えへへ。」
紗奈、褒めてないから。
「だから、紗奈はふう君から振られることはあっても、振ることはないわ。
母親の私が保証するわ。」
「え!颯太、私を捨てるの!?」
「紗奈、捨てないから、涙目にならない。」
えーっととにかく、だ。
「じゃあ、父さんと義母さんも反対ではないんだね?」
2人は頷く。
こほんとわざとらしく、咳をして紗奈に向き合う。
「紗奈。改めて言うよ。僕と結婚してずっと一緒にいて欲しい。」
僕はあえて、両親の前で紗奈にプロポーズする。
強く約束するため。
「はい!颯太と結婚したい!お願いします!捨てないで!」
捨てないから。
なんで、そうなる?
おー!!と嬉しそうに、父さんと義母さんが拍手する。
最後に父さんが言う。
「あ、子供は流石にもう少し我慢した方がいいぞ?」
分かってるから。
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