31日目「来たわね。30話の壁!」

「来たわね。30話の壁!」


僕のベッドの上で、自分の枕を頭に置きながら、僕の枕を抱えスマホで小説を読んでいた紗奈さなは唐突にそう言った。


僕が何事かなと顔だけ振り返ると、寝転んだまま、こいこいと手招き。


隣に座ると、えいっと掛け声で、腕を引っ張られ、ベッドに倒される。


あれ、、、?


よじよじと僕の上に登ってくる紗奈。

下から見上げる紗奈は美しく妖しかった。


「紗奈、、、?」

紗奈は僕を見下ろし、ニコッと笑う。


あれ?

何か捕食されそうな気分。


上からちゅっと。

口に。


それから首筋に、うちゅー。


「さ、紗奈、、、?何してるの?」

「ん?もう良いかと思って。」

「何が?」

「襲っても。」


反対側も、うちゅー、と。


「よしっと。」

紗奈は僕の上から降りる。


「さて、颯太ふうた君。30話の壁とは私が勝手に提唱した、ある傾向のことである!」


紗奈は僕の前で正座して、身振り手振りを交えながら、話し出す。


当然、僕は話についていけない。


「聞いているかね?颯太君。これは由々しきことなのだよ。」

ビシッと、指を突きつける紗奈。


、、、うん、後で復讐しよう。

僕はそう心に決め、話を聞くことにした。


「どのように由々しきことなんだい?」

無駄に優しく笑顔で尋ねる。


紗奈が一瞬気圧されたような態度だったが、言いたい話らしく、大きく手を広げ説明する。


「大体30話前後、もしくは30話後半辺りから多くのカ◯ヨ◯の更新が一旦止まるのだ!


楽しみにしていた多くの作品が、何故かそこで!

何故だと思う!?」


とりあえず僕は紗奈を逃さないように、彼女の隣にピタリと座り、手を握る。


ビクッと反応して、紗奈は顔を赤くする。

相変わらず、攻められると紗奈は弱い。


「うーん、その辺りでネタのストックが切れるからじゃないのか?

後は、その辺りで大体、書きたかった部分に到達するとか?」


「その、ね?颯太?嬉しいけど、ちょっとその手をスリスリするのは、恥ずかしいかな?


、、、そ、そうよ!恐らく、統計は取ってないけど、ラブコメは特に多いわ!


これは勢いで出だしを書いて、後のプロットが出来上がっていない可能性がある!

カ◯ヨ◯の大問題!

更新求むよ!」


僕はさらに紗奈の肩に手を回し、彼女を引き寄せる。


「それで、どうしたらいい?」

紗奈の耳元でささやく。


「ちょ、ちょーっとだけ、離れて、欲しいかなぁ〜、なんて、、、?」


紗奈は最初に僕の上に乗った勢いは、完全に影を潜め、、、ふにゃふにゅになっている。


僕は安心させるように、紗奈にニッコリと笑って見せた。


その顔を見て、難を脱したと思ったのか、紗奈はホッとした顔を見せる。


僕は紗奈の耳元に口を寄せ、言った。

「だめ。」


僕はそのまま、紗奈を押し倒した。


勢い任せだから反省はするけど、後悔はしないよ?

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