10日目「私、メンヘラになるわ。」

「私、メンヘラになるわ。」


僕のベッドの上で座った状態で、こちらに身体を向け片手を伸ばし、スマホで小説を読んでいた紗奈さなは唐突にそう言った。


その時、僕は英語をしていた。

mental health.

僕はそこで少し考える。


それから、椅子をくる〜りんと回転させて、立ち上がり、ベッドの上の紗奈の伸ばした手を取った。


「えっ?へ!?えー!?」

「ちょっとこれを見て?」

指を一本立てて、紗奈の顔の前で左右に。

紗奈はその指を目で追う。


ふむ、、、。


「とりあえずは大丈夫そうだね。」

「な、なになに?なんなの?ついにエンディング!?」

紗奈は真っ赤な顔で、動揺する。


紗奈の頬に手を当て、じーっと真っ直ぐに彼女の目を見る。


動揺のためか、彼女は複数回瞬きをする。


僕はふっと、彼女を安心させるように優しく微笑む。


「!!!!!????」

彼女が言葉にならない動揺を見せるので、更に安心させるように頭を撫でた。


そう言えば、僕らがまだ幼馴染の頃、泣いている紗奈を慰めるために、こうして頭を撫でたのを思い出した。


中学に上がる頃には互いの思春期の影響か、自然と触れなくなった。


少し撫でていると紗奈は大人しくなったので、僕は手を離した。

「あっ。」


紗奈から言葉が漏れたので、僕は笑みで返しておいた。


そうして、僕はまた椅子に戻り、口を開く。


「メンヘラは小説などでは、ラブコメの一要素で、男からしたら求められている気がして、とても嬉しいけれど、酷い場合には、鬱病うつびょうなどの可能性もある。


そうなる前に僕に相談してね。

いつでも話を聞くから。

後、そういう時に1番良いのは、ちゃんと休む事。

寂しいなら、今日は僕のベッドで寝て良いから。」


また僕は微笑んだ。


紗奈は真っ赤な顔で。

「、、、はい。」

返事をして、そのまま、横にコテンと倒れた。


それを見て、安心して僕は再度、机に向かった。


紗奈が後ろで。

「うう、、、颯太ふうたに攻められたら〜、負ける〜、まーけーるー。」

と呟いていたが、紗奈が元気そうなので、僕は聞こえないふりをしておいた。

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