6日目「私、寝取られたわ。」

「私、寝取られたわ。」


僕のベッドの上でうつ伏せで手を伸ばしながら、スマホで小説を読んでいた紗奈さなは唐突にそう言った。


僕は今日のノルマは歴史だ。

成る程、中国が明の時代は、1600年頃迄だから戦国時代?

ふむふむ。


そうだっけ?


「ねーとーらーれー、、、。」


「分かった分かった。それで誰に寝取られたの?それに自己申告するもんじゃないよね?」

僕は椅子をくーるーりと回転させる。


紗奈は嬉しそうに、足をバタバタする。

颯太ふうたに寝取られたの。」

「うん、わかった。それで僕は誰から紗奈を寝取ったの?」

「誰だろ?颯太?」


頭弱い子みたいだけど、紗奈は頭は悪くない。天才型?

僕は見ての通りの努力型。地道にやるしかないタイプ。


「寝取られた後にすぐに、学年一とか学校一とかの可愛い子と付き合ったりするでしょ?何でそんなに次々モテるようになるの?そんなに魅力的なの?」


いや、それは知らない。


「よく聞く話では、そういうカタルシス?を感じさせるのが良いとか聞くよ?」


「そういうラブコメ〜多いよねー。そんな簡単にラブコメ発生するの〜?」


うーんと悩みながら、的を得ているとは言えないかも知れないけれど、

「紗奈だって美少女と言えるぐらい可愛いだろ?ヒロインの資格十分だ。

だから、紗奈と付き合うような奴もラブコメの主人公になれるんじゃないか?」


「あ、じゃあ、今、ラブコメしてるんだ?」


いや、知らんけど。


紗奈はゴロゴロ〜とベッドで転がった後、思い出したように、足をバタつかせる。


「でも、寝取りきら〜い!なんかこう、モヤモヤして辛くなる〜、異世界ファンタジーで多すぎ〜。」


「落としてあげる方が、話を盛り上げやすいからじゃないか?ていうか、紗奈、ラブコメとか恋愛以外も読むんだ?」


「読むよ〜。鬱とかホラーは嫌いだけど、SFとか結構好き。◯ク◯ムだとあんまり目立たないから、面白いの探しづらいけど〜。」


だから、何故伏せ字にする?


紗奈は足をバタバタさせる。


「でも、毎日夜にこんな話出来るの嬉しー。友達とかと電話だと、どうしても時間制限あるし〜。同い年のお兄ちゃんサイコー、颯太好きー。」


「はいはい、ありがとね。俺も紗奈が好きだよ。」

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