表面、裏面

田土マア

おもてめん、うらめん

「もう耐えらんないよ…。」

息が途切とぎれながら君が涙を流しだす。

私はそんな君を見るのが好きだった。

「お願いだから、やめて…。」

「いやだよ」

私は魔女のように笑う。


「ねぇ、さすがにやりすぎだよ、その辺にしときなよ。」

黙れ。傍観者ぼうかんしゃどもが。今、私はこの子の泣いている顔を見るのが好きなんだ。


 後で責任を負わされた時“私たちはめました”とでもいうんだろう。

止められてないのに止めた、と言う。止めたと言うなら止め切ってから言え。

止まっていないうちは“止めた”に入らないんだよ。


 肝にめいじておけ傍観者ども。


「ゴホッゴホ」

 君が咳き込みだして苦しそうな顔を浮かべる。

「あ、ごめんね。」

 そう言って私は脇腹から手を放す。

「ありがとう。」

 涙した跡がキラキラと頬を光らせながら何故か毎回君はそう言う。


――君の笑い泣いてる顔、その後の疲れた顔を見るのが好きだ。

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表面、裏面 田土マア @TadutiMaa

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