第3話 国王と大臣達の会談

 アークが竜国の姫ラピスに連れられ、竜国へと旅だった時と同じ頃だった。アークを追い出した国王とその腹心である大臣達数名は大きな食卓で豪華な晩飯を並べ、舌鼓を打っていたのである。


「ぐふふっ。上手くいったわ。あの生意気なドラゴンテイマーを追い出せて。せいせいするわ。奴の給金は他のビーストテイマーの10倍。他のビーストテイマーを雇えば、9割ものコストを削減できるのだ」

「くっはっは。すぐにアークの代わりとなるビーストテイマーを用意させましょうぞ。そやつに竜の世話や管理をさせれば良いのです」


 大臣のうちの一人がそう言う。


「あやつは実に目障りであった。このわしに竜の扱いにとってごちゃごちゃと指図をしてくるのだ。肥料や酷使をしないようにあれやこれやと。このわしにたてつくとどうなるか教えてやったわ。がっはっはっはっは!」

「……して。国王陛下。アークの扱いはどうします?」


 大臣は聞いた。にたにたとした醜悪


「決まっておろう。絶対的な国王であるわしに刃向かった罪は万死に値する。無論、こんな事で表向きは死刑にするわけはいかないからの。国外追放の後、あっさりと処分するつもりだったのだ。既に国内でも最強の暗殺者集団である『影縫い』を用意しておる。奴らなら抜かりなく邪魔者であるアークを処分してくれるだろうよ。くっくっくっく」


国王は特上のステーキ食いつつ笑う。


「なるほど。それではあの厄介者のドラゴンテイマーの顔を見る事は二度とないというわけですな」


 大臣の一人はそう言って笑う。しかし国王は知らなかった。


「全くじゃ。それと以前、取り逃がした白竜の調査はどうなっている?」

「はっ。今進めております。現在調査中です」

「ぐふっふっふ。白色の竜はとても珍しく貴重だからの。捕らえて売れば高く売れる。以前捕まえ損ねた事を今でも後悔しているからの」


 国王は以前白竜を捕らえる寸前のところまでいったのだ。結果として白竜は怪我を負ったが、何とか捕らえられずに済んだ。そして姿をくらましたのである。

 アークの助けた白竜に怪我を負わせたのは実は国王達の策略によるものだったのである。

 国王は知らなかった。その白竜が竜国の王女であり、国王は竜国の恨みを買ったという事。 そして王国を追放されたアークが竜国に超好待遇で招待をされているという事を。さらにはそのアークを暗殺しようと計画する事がさらなる竜国の恨みを買うという事を。そして竜の管理や調教はビーストテイマーでは出来ずに、ドラゴンテイマーにしかできない事を。


 そして竜を扱えるのが世界でただ一人、アークしかいない事を。

 彼らは知らなかったのである。

 

 彼らは何も知らずに豪華な料理に舌鼓を打ち、悦に入っていた。

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