パソコン部が廃部になった話

河内三比呂

第1話 パソコン部が廃部になった話

 これは私が中学二年の頃の話だ。


 私は入学当初からパソコン部に入りたいと思っていた。だから、迷うことなく入部した。

 入った当初、部員は私を含めて五人程度だっただろうか? とにかく少なかったことを覚えている。


 パソコン教室を部室としていたパソコン部では、とくに活動する訳ではなく、各々が好きにパソコンで遊んでいる状態だった。顧問もあまり部室に来ることもなかったのも一因だったが。


 二年に上がり、私を含めて部員は二人になった。確か男子部員だったと記憶している。と言うのも、クラスも違い、あまり会話をすることもなかったからだ。


 その時期に担当顧問がかわり、バレーボール部との兼任の顧問になった。どうやらその顧問は、バレーボール部の方に力を入れていたらしく、以前の顧問よりパソコン部に寄り付かなかった。


 そして、半年経った頃だったか。ある日、あれは確か休憩時間だった。いきなり担当顧問から廊下に呼び出されたのだ。


 不思議に思いながらも、廊下に出ると、もう一人の部員である男子もいた。


 何がはじまるのだろうか? そう思っていると顧問が真剣な表情で言った。


「君達に正直に言います。バレーボール部との兼任は辛いです。よって、今日を持ってパソコン部を廃部にします!」


 私ともう一人の部員は何も言えなかった。活動らしいことはしていなかったし、何より、顧問の深刻そうな声色に、困惑してしまったからだ。


 二人とも何も言わずにいると、顧問は同意ととらえたのだろう。最後にこう言った。


「それじゃ、解散!」


 こうして、私の代でパソコン部は廃部となったのだった。


 なお、十数年経った今でも、その中学にパソコン部は存在していない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

パソコン部が廃部になった話 河内三比呂 @kawacimihiro

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ