第16話
入ってきた職員を追い出し俺達は互いに見つめる。男二人で見つめ合うなんて気持ち悪いがそれだけ衝撃的だったのでしかたない
俺は一応現実逃避してみることにした。
これは夢だ、たぶん夢幻を使った後遺症かなんかだ
俺は震える手で掴む紙をカイに返しながらたずねる
「な、なぁ、これはなんかのどっきりかな?」
「いや、現実だろ?」
俺の親友は容赦なく切り捨てた。
それを聞いて俺も諦めることにした。
「いや、まぁ、だよね?というかこれやばくない?」
「かなりやばいな」
「だよね?」
魔王軍に家族を襲われた人や魔王軍との戦争の為に苦労した人ましてや魔王軍に家族を殺された人もいる、
それを和睦します、さらには魔王は勇者と幸せに暮らします
なんて国があげて発表したらそれはそれはたいへんよろしくありませんよね?
せめて和平を結んでお互いに不可侵とかにするべきだろ?惚れた晴れたは内々にしてさ
こんなにだいたい的な発表はしないほうがいいに決まっている。
しかもだよ?この流れだと魔王は勇者と一緒に人間側の領地、王街に住む感じじゃない?
下手したら内乱おきるわっ!!
全く、王はなに考えてんだ?
あの聡明な王がこんな事をするとは俺には考えられなかった。
「王になにかあったか?」
思い出すのはあの優しい笑顔、訓練が終わり廊下などで会えば頑張ってるなと優しく微笑んで頭を撫でてくれた王、娘である王女と遊んでいると若干瞳は笑ってなかったけど‥‥
俺が勇者としてなんの成果もあげられず貴族連中から批判されていても影で愚痴を聞いてくれたり、一緒に酒飲んだりしてたっけ
姫さんのかわいいね、とかの話題だすと足踏まれたけど‥‥
そんな上司であり、友であり、例え血の繋がりがなくとも父と思っていたあの王がこんな愚策をするとは思えない、
「お前もそう思うか?」
俺のふいにこぼれた言葉を聞いてカイが話しかけてきた。実はカイにも文通の時に王の話をしていた。ぶっちゃけ初めて彼女ができた彼女のことより王の話をしていた事のが多かったと思う。だからカイもおかしいと感じたのかもしれない
「ああ、あの王がこんなことをするとは思えない」
俺はカイの瞳を見て断言する。
「だよな、お前の手紙に書いてあった王様はこんな愚物じゃないはずだ。まぁ、実際に会ったことはないけど今までの政策とかを見るに優秀だと思うし、回りの状況を見たり、他の意見もきちんと聞く人だと思う」
「ああ、最高の王様だ」
「実はな、小耳に聞いたんだが、近頃第一王子が政務をこなしていると聞いている。しかも王子は真の勇者((笑))と懇意にしているらしい、」
「つまり」
「王子の独断だと思われる」
なるほど、
俺は内心納得しながら王子の顔を思い出す。あの王の息子にしてはかなり傲ま、あ、いやんー、なんというか、これぞ王公貴族の鏡!!(悪い意味で)を地でいく王子だったな、俺より3つ上であるが、元パーティーメンバーの三人には鼻の下をのばしーの、俺には嫌がらせしまくりーのでいい印象なんかひとつもないかな?そんな奴と懇意にしてる真の勇者((笑))も人格に問題ありなんじゃね?なにか裏がありそうだ
なにか見返りがあればあの王子ならこれくらいしそうだなと納得しそうになる。
でもこんなヤバい発表をそもそも、
「でもそれならあの王が止めるだろ?」
「それは‥‥わからん、だが、一度王都に行ってみる必要があるんじゃないか?」
結局はそこになるよな、
俺達は二人であれこれ議論を重ねたが結局情報乏しく答えはでなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます