第14話
「頭をあげてくれ、今こうして俺の話を信じてくれているだけで俺は満足だ、それに俺だってお前にこうして会うまでずっと不安だった、もしかしたらお前もあいつらを信じて俺を国賊と、嘘つきの卑怯者と糾弾するんじゃないかと‥‥俺もたった一人の親友を疑った、すまなかった」
俺も頭を下げる。
そして俺達は互いに頭を下げ、声かけなどの合図などなく同時に頭をあげ、笑いあった。
目尻に涙を溜めながら、
「あはは、こうゆうのも久しぶりだな」
「ああ、孤児院で喧嘩した以来だ」
「覚えているぜ?お前が俺のおやつを食べたのが悪い」
「いや、あれはお前が俺の目の前におやつを置いておいたのが悪い」
「なにを?人のを勝手に食うんじゃねぇよ」
「早い者勝ちだろ? 」
「んなわけあるかっ!!」
「お?やるか!?あの時のけりつけてやらぁ!!」
「上等だ!!久しぶりに血が騒ぐぜ!!」
俺達は立ち上がりにらみ合う、そして
「「ぷっ、あははっ!!」」
互いに吹き出し拳を合わせながら笑いあった。
これだよ、これが本当の仲間だ
俺はカイとのやり取りで仲間という存在の大切を実感し、再確認した。
☆☆☆
「それで、向こうは大丈夫なのか?今頃大慌てだろ?」
「あと半日は大丈夫さ、今頃皆いい夢を見てるさ」
「おっかない能力だこと、」
「お前だってえげつない魔法使うだろ?お前が居てくれれば今とは違う未来が見えたかもしれないな」
「よせよせ、俺に勇者様のお供なんかむりむり」
「何いってんだ、賢者ともあろうものが」
そうカイのスキルはレアスキルでも勇者、聖女と並ぶ賢者だ。だが、カイはスキルを受けとると嘘の申告をして俺達のように集められることはなかった。その後カイは冒険者になりその手腕を余すことなく使い若干15歳で冒険者ギルド長に就任と異例の出世劇を披露したのだ。俺はスキルを受けとる前からカイとは親友で彼には冒険者になるという夢があったのを知っていたので賢者とわかっても国に報告をしなかった。そして国がその事を知ったのはカイが冒険者ギルド長になってからだったので一応声をかけたが拒否され、無理やり引き抜こうとしたが世界中に広がる冒険者ギルドという組織を敵に回すことを恐れ国も諦めた。俺にも説得するよう言われたが俺達のやり取りは元パーティーのあいつらにも内密にしていたので「孤児院をでてから接点がない」と断った。
「そういえば、俺のとこにあいつらが来てな、一緒に魔王を倒しましょうってのたうちまわったから軽くあしらっておいたよ」
「よくあしらえたな?」
「これでも10の頃からの鍛え上げだ、あんな奴らに遅れはとらんよ、新勇者には多少手こずったがまぁ、なんとかなった。」
「やっぱりアイツのスキルって」
「ああ、アイツのスキルは「無」と「有」というスキルだよ」
「なんだそれ?」
「まぁ、簡単に言えば「無」で相手のスキルを取り「有」でそのスキルを自分のものにする感じかな?まぁ、前に俺のとこに来たときは「無」しかなく、さらにその時は一定時間相手のスキルを劣化コピーするってものだったがな、先日来たときは強力になっていた上に勇者のスキルも持っていたよ」
カイの話を聞いて俺は確信した。
やはり奴に勇者を取られていたかと、それに今の話を聞くともしかして奴が村で俺に近づいてきたのは俺の勇者をコピーするためか?
それなら聖武具を装備できるわけだ。おそらく一つ目の聖武具を装備してスキルのレベルが上がったのだろう、そして剣、盾、鎧全ての聖武具を俺より先に入手したとするなら合点がいく。やはり偶然ではなかったな、壁に張ってある地図を見ると聖剣があった神殿が奴がホームにしている街の目とはなの先にある、間違いない
「それでこれからどうするつもりだ?」
思考の海に沈んでいるとカイが話しかけてきたので俺は意識を戻した。
「ん~、最初はこのまま、王都に向かってあいつらにも復讐って考えたんだけどさ、」
「ああ」
「カイの話を聞いたらなんかどうでもよくなった、というよりアイツらを断罪するとしよう、そしたらその後魔王と戦うのは誰だ?」
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