第13話
「♪~♪~」
俺は今街中を意気揚々と歩いている。
え?牢屋はどうしたって?
じゃはい、回想シーン行ってみよう!!
‥‥どうだった?
わかったかな?
え?何もわかんねぇよって?
まぁまぁ、細かいことは気にしない気にしない~
「あ、おばちゃん、そのリンゴ一つおくれよ」
「はい、まいど~」
買ったリンゴを齧りながら俺はある場所に、向かった。
そして目的地に着くと迷わずその扉を開いた。中には人々がそれぞれの用事で動いた。
受付で職員となにやら話し込んだり、依頼ボードを見て仲間と相談したり、併設されている食堂で酒を酌み交わし騒ぐ者もいる、
もうお分かり頂いたかな?
ここは冒険者ギルド、実は俺はこの街、ナナルの冒険者ギルドにいる古くからの知り合いに用があり、訪ねる為に牢から脱獄してきちゃいましたとさ
俺は迷うことなく彼がいつも定位置にしてる酒場の席に視線を送る。するとやはり彼がいたので俺は無言で彼の横に腰を下ろした。
いきなり隣に座った俺を不審に思ったのか彼が話しかけてきた。
「誰だ?」
「久しぶり、カイ」
「っ!?お前、マルスか?」
「そだよ」
長年の友であるカイでも俺とは気づかなかったか、俺は今ミウの力で軽く変装している。変装と言っても髪と瞳の色が元々の黒髪から紫色になっているだけだけどカイは気づかなかった、俺の声と彼の愛称であるカイと呼んでようやく気づいたらしい。
カイは信じられないという顔をした後誰にも聞こえないよう声を潜めて
「お、お前、自分が今どんな状況か分かってるのかっ!?」
「勇者だと国に嘘をつき、真の勇者であるハマトへの殺害容疑、あとは‥‥なんだっけ?」
「お前なぁ、はぁ、俺がどんだけ心配したかわかっているか?お前は昔から無茶ばかりしてその尻拭いを毎回させられる俺の身にもなれよ?だいたい今回の事だってな」
カイの説教が始まったので俺は慌てて話題をふる
「と、とりあえず場所を移さないか?ここじゃなんだし、な?」
「‥‥はぁ、わかったよ、たしかにここでする話ではないな、俺の部屋にいくぞ」
「あいあい」
「返事ははい、あと一回でいい」
「わかったよ」
そう言ってカイと俺は立ち上がり歩き出した。向かった先は受付の横にある階段、すると職員の一人が話しかけてきた。
「あれ?ギルド長?今日はもうあがりじゃ?」
「なに、緊急の仕事が入ってな、お前達は気にせず仕事をしてくれ、」
「わかりましたー」
そう言ってカイは階段を上がり始めた。俺も黙って後に続く、
そう、このカイ、いやカイザー・ドラゴはこのナナルの冒険者ギルドのギルド長をしており、俺と同じ孤児院出身の幼馴染みで親友だ。
☆☆☆
「で?なにがあった?」
ギルド長室にあるソファーに腰を下ろしカイは俺に問う。俺はカイの正面に座り今回の事を(アポロ達のことは簿かした)話した。
するとカイは両手を組み深く考える仕草をするとおもむろに口を開いた。
「あいつらが帰って来た時、奴らは全員傷だらけで重症だった。特に新勇者であるハマトの怪我は酷くてな、うちの街にいる治癒師が全員駆り出されてようやく回復した。そして奴は治療中うわ言のようにお前にやられたと口走り他の仲間もそれを固定した。奴は隣街にホームを置くパーティーだったがこの街にも頻繁に来ていてそこそこの人脈を築いていた。さらにお前の元パーティーも同意し、さらに今までお前にされていた非道の数々を暴露まわりの人間はすぐに信じた。かくいう俺も昔からの関係やお前との文通などがなかったら信じていたと思うよ」
「そうか、お前だけでも信じてくれて嬉しいよ」
「いや、実際揺らいださ、人は変わる、俺の知るマルスはいなくなり、あいつらが言う邪悪な人間になっちまったのか?って、俺は、たった一人の親友を疑ったんだ、すまなかった」
そう言ってカイは深く頭を下げた。
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