第12話

「貴殿、いや貴様には勇者と偽証し国を欺いた詐偽の容疑がかかっておるだけでなく、仲間のパーティーメンバーを暴行し、淫行しようとし、さらには真の勇者であるハマト・ラズナーに殺害しよう彼と彼のパーティーをダンジョンに誘き寄せ、外傷を与えた罪がかかっている。人間として最低な行いをした貴様を我々人類は絶対に許さないだろう、」


ラマダンの言葉に俺の思考はフリーズしなかった。なんとなく分かっていた。あいつらが俺をただ戦死にするわけがない。なぜなら俺が戦死した場合俺の勇者支援金は打ち切られるだけでなく、勇者という魔王を倒せるスキルを持っている俺をみすみす死なせたとあいつらの責任追及まで及ぶからだ、俺の元パーティーはレアスキル持ちだが聖女以外の二人は最悪代えが効く、なのでその二人は恐らく奴隷落ち、聖女は勇者に次ぐレアスキルだから辛うじて奴隷落ちはなくとも何らかの重いペナルティがつく、そしてあいつとそのパーティーメンバーは死刑確定だ。

それを回避するには俺を悪役にする必要があった。さらに俺が偽物であいつが本物扱いされている件だが、実はダンジョンからの帰還中俺は自分のスキルボードを見てみた。ダンジョン出発前はたしかに勇者のスキル名があったそのボードは現在空白になっている。恐らくあいつ、ハマトのスキルは相手からスキルを奪い取る、もしくはスキル名や効果を書き換える能力があるのだろう。だから勇者しか装備できない聖武具を装備できたのなら納得がいく、そして今ハマトのスキルボードには勇者の名があり、あいつらはそれを見せて俺を偽物に仕立て上げたのでだろう。とりあえず俺はそのまま抵抗なく兵士に手錠をはめられ馬車へと乗せられた。

なぜ抵抗しないのか?

街まで歩くのだるいから

それに王都には恐らくあいつらがいるだろ?

自分からのこのこと俺の前に現れてくれるなら願ったり叶ったりだ。


俺を乗せた馬車、もとい護送車はゆっくりと街に向けて出発した。


いやー楽しみだ!!

街に着いたらまずは飯だ!!


俺は胸を高鳴らせ街に着くのを今か今かと待ちわびた。


☆☆☆


ダンジョンから一番近くの街に到着すると俺はそのまま牢屋に連行された。回りの兵士達は俺を国賊のように蔑んだ目で見ていた。

ここまでで、驚いたことがあった。

俺があいつらに置いてきぼりにされてから実に2ヶ月が経過していたのだ、

俺は抵抗しないでそのまま大人しく牢屋に入った。大人しく従う俺を気味悪がる奴もいたがまぁ、いいだろう。

そして、牢屋の出入口の見張り以外がいなくなるのを確認すると唱えた。


「具現化せよ、夢幻」


すると俺の手に紫の短剣が現れた。

これは夢を司る神ミウの神具として姿、その名は夢幻、紫刀身に柄の部分には蓮の花が咲いたような装飾がされており、

夢幻を握ると


〝お兄さん、お呼びですか?〟

「ああ、ミウの力を貸してほしい」

〝かしこまりました、〟


俺はミウの力を解放する


「夢の世界へ誘え、夢幻一式、夢界」


すると俺を中心に紫色の光が広がった。

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