第11話

「ふぅ、ようやく出られた‥‥」


部屋を出た俺は行きでは考えられない程スムーズにダンジョンを出ることができた。

まぁ、考えるまでもなくアポロ達のお陰でだけどね、今の所アポロの能力しか使ってないけど出てくる魔物をひたすら火玉で燃やして歩いただけ、それも飽きてきたから、火玉を放ち燃やしたくない箇所(素材や討伐証明部)を残せないか試したり、炎をどれくらい自由にあやつれるかや炎を薄く視認できないギリギリの濃度で体を覆い、ぶつかってくる魔物や俺を食おうとする魔物が勝手に自滅する感じで歩いたりと、そんな風に遊びながら進み、ようやくダンジョンの出口に到着した。途中食えそうな魔物を調理(肉を火で炙るのみ)して食べたりしたが、きちんとした飯が食べたく街に着いたら絶対うまい飯を食おうと固く決め俺はダンジョンから町までを行き来している馬車の停留所に向けて歩き出した。さすがにここから街まではかなりの距離があるし体も疲れている。当然金もかかるが幸いなことにポケットに入れていた小銭は無事だった、これでギリギリ馬車に乗れる。


街に着いたらまずは冒険者ギルドだな、素材を売って金を手に入れなければ、ダンジョンの最下層にいた魔物の素材は持てる範囲で回収したし、かなりの高収入になるだろう。というか、俺は今どんな扱いになっているんだろうか?俺は祝福でスキル勇者を貰っているし、国もきちんと確認している。その勇者がダンジョンから帰らないなんて大ニュースだろ?

とそう考えたところで


「止まれっ!!」

「は?」


いきなり物陰から現れた兵士数名になぜか槍で囲まれた。


一体なにが?


☆☆☆


兵士に囲まれた俺はとりあえず両手をあげ無抵抗を貫いた。

彼らは王国の兵士で下手に手を出せば例え勇者でも問題になる。あ、ちなみにここはアルースハイド王国で俺が所属している国でもあります。

え?自分が所属している国なら融通が効くだろうって?

忘れてはいけない、最近の俺達勇者パーティーの功績はかなり悪い、そのせいで風当たりが強く、今ではろくに使える権力なんてないのだ、権力をなくした俺達なんてぶっちゃけ孤児と田舎娘達の集まりでしかなく、王族、貴族から果ては下っぱ兵士にまでバカにされる始末、しかも最近ではあいつが率いる冒険者パーティーが活躍するもんだからあいつらこそがほんとの勇者だ!!と俺達がいるにも関わらず声だかに叫ぶやつまで出てきていた。このダンジョンに入る時もあいつらに頼る俺達を見て情けないと侮辱の色が濃い瞳で見られたの思い出していると俺を取り囲んでいる兵士の壁が開き間から偉そうなおっさんが歩いてきた。

そのおっさんは口髭を生やし優しそうな笑みを浮かべるが身体からただよい気配は歴戦の猛者と見える。着ている軍服と階級書からたしか近衛隊の隊長だったか?

そう考えたところでおっさんは喋り始めた。


「貴殿は勇者マルスだな?お初にお目にかかる、儂は、近衛隊第4部隊隊長ラマダン・グルーヴと申す、王命により貴殿を拘束する。抵抗されるな、万が一の場合は殺害の許可も出ておるでな」


ラマダンの言葉に俺は驚いた。国王とは何度か謁見しているし、なんなら王の娘である王女とはよく遊んだ仲だ、その関係で国王とはプライベートでは俺を娘の友達として認可し優しく節してくれた。そんな国王が俺に捕縛せよと命じあまつさえ殺害を許可したなど考えられなかった。


「な、なぜですか!?」


俺は慌ててながらラマダンに問う

すると信じられない答えが帰って来た。


「貴殿、いや貴様には勇者と偽証し国を欺いた詐偽の容疑がかかっておるだけでなく、仲間のパーティーメンバーを暴行し、淫行しようとし、さらには真の勇者であるハマト・ラズナーに殺害しよう彼と彼のパーティーをダンジョンに誘き寄せ、外傷を与えた罪がかかっている。人間として最低な行いをした貴様を我々人類は絶対に許さないだろう、」


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