第10話

「それじゃ行くとするかっ!!」

〝うむ、〟

〝はーい!!〟

〝よろしくお願いします〟


そう言ってアーちゃん(アポロ)、ライ、ミウはマルスの体の中に消えた。三人の姿が消えると元々あったアポロの紋様の他に右手背に蝶と雷の紋様が浮き出した。内視法を使えばアポロの時のような凄まじい力を感じる。


これからよろしくな!!


マルスは心の中で呟き扉を潜った。


☆☆☆


マルスが扉を潜ると扉は消え誰も居なくなった空間に二人の人物が降り立った。


「あれでよかったのか?」

「ええ、これであの子はもう大丈夫ね、協力ありがとう」

「それは構わないが、4人も神をつけて良かったのか?世界のバランスが崩れないか?」

「大丈夫よ、あの子以外なら大変なことになっていたかもしれないけど、あの子なら大丈夫!!なんたって、、、、だもの!!」

「はぁ、付き合わされる私の身にもなってほしいものだ」

「いいじゃない、ほんとなら貴女について行ってほしかったのよ?」

「勘弁してしくれ、私も暇じゃないんだ、だいたい一人やばいのが一緒に行ったのだ、あやつがいれば大丈夫だろ?」

「たしかに、私もあの子が行くとは予想できなかったわ、大丈夫‥‥よね?」

「しらん、それより戻るぞ?仕事が溜まっているのだからな」

「え~!!このまま遊ぼうよ!!」

「駄目だ!!約束したであろう」

「はいはい、わかりました~、ぶー」


そう言うと二人の姿はどこにもなかった。


☆☆☆


「ここは‥‥」


マルスが扉をくぐりたどり着いた場所は先程までマルスがいた地下ダンジョンの最奥、マルスが置き去りにされた場所だった。


俺がいた場所を見れば壁に俺の体を固定していたナイフが今でも刺さっていた。

俺はどうやってあそこから脱出できたのだろうと考えようとしなかった。


だって分からないもん分からんし?


それに今は先にやることがあった。

それは今光輝いているダンジョン攻略者に与えられるアイテムである、4本の剣、正直今の俺には不要なアイテムだがあるもんはもらっていく、


マルスは4本の剣のうち、一本の剣を手に持った。すると剣から魔力が流れて来るが、アポロ達と邂逅したあとでは感動もなにもない。

しばらくして剣は球体へと形を変えた。


これはなんだろう?


あいつらが持った時はそれぞれに合った武具になっていた。つまりこれが俺に合った武具だと言うことになる。


ま、そのうち分かるかとその玉をポケットにいれ、他の剣も持ってみたが全て同じように玉に変化した。


何で武器が一つもないんだよ!?


とまぁ疑問を抱くが元々楽天的な性格のマルスは全ての玉をポケットにしまい、出口があった扉に向かった

そして扉を押してみるも開かない、

それはそうだ、本来この扉は外から来た攻略者によって開かれるもの、そして開いた者がいなくなれば扉はまた固く塞がれる。


マルスはため息を吐き一歩下がる。

そして壁に向かって手をかざし頭に浮かぶ一文を読み上げる


「全てを焼き尽くせ、アポロ」


すると掌から火球が轟音を轟かせながら飛び放つ。火球は壁に当たると燃え上がり焦げ臭い匂いと共に壁をバターのように溶かしていく。待つこと数秒マルスの前に聳え立っていた壁は多少の残骸もなく、綺麗に焼き尽くした。あたかも最初から壁などなかったかのように。


「‥‥‥こっわっ!!え?うそ!?こんな威力あるの!?」


マルスは暫し固まり現状を把握すると酷く狼狽えた。彼的には人が通れる程度の空間が開けばよし、と考えていたからだ。

結果として、マルスが認識していた壁全てを焼き尽くした。ここで恐いところはマルスが認識していた壁のみを焼き尽くした点だ。焼き尽くした壁と繋がっていた壁や近くにあった植物、果ては地面にまでもどこにも焼けた後がなかった。焦げ後さえも。

つまりアポロの炎はマルスが認識した物のみを燃やすということだ。


これはあれかな?

女の子の服だけ燃やしたりできるんじゃないか?


その考えが過った瞬間マルスは決心した。


あいつらに会ったら装備や衣類全て燃やしてマッパにしてやろう。


なんとも次元が低い復讐を決心したマルスは鼻歌を歌いながら暗い部屋から明るいダンジョンエリアに足を踏み入れたのだった。



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