第5話
ここは?
目が覚めると辺りは真っ白な空間だった。
俺は死んだのか?
辺りを見渡すも白白白白
少しきが狂いそうになった。
さっきまで黒黒黒黒真っ黒だったのに次は真っ白だ。これはあれか?願望出ちゃった?
もう真っ暗はいやだと無意識に思い死後は真っ白な空間ってことかな?
なんてよくわからない事を考えていると目の前に扉が現れた。いかにも開けろ、みたいな扉を躊躇いなく開ける。どうせここは死後の世界もしくは夢の中だ。なら何も怖がることはないと扉を開けると今度は真っ赤な空間、そこには一本の剣が台座に突き刺さっていた。その剣は刀身から柄の部分まで真っ赤に染まりまるで太陽のように暖かい気配を漂わせていた。
俺はその剣を握る。すると先程から感じる気配と同じように暖かい魔力がアルスの中に流れ込む、その魔力を感じるとさっきまであったあらゆる痛みが緩和されていくような気がしてマルスは剣を一気に引き抜く、その瞬間体のありとあらゆる痛みが暖かい光に包まれ癒えていった。外傷は綺麗になくなり、骨や内臓などの目に見えない痛みからも解放された気がした。そして何よりぼろぼろになった心が暖かく包み込まれマルスはいつの間に涙を流していた。
その心地よい気持ちをマルスは味わい尽くした。引き抜いた剣を大切に抱き締め、涙を流しながら。
ありがとう、ありがとう
と自分を癒してくれた剣を絶対に手離さないと握りしめて
どれほど時が経ったのだろうか、マルスはふと顔をあげる。すると先程剣が刺さっていた台座の横にまた扉が現れた。マルスは抜いた剣を持ちそのまま扉を開ける。すると今度はさっきまでいた真っ赤な空間ではなく、海のように澄んだ青で染まる空間だった。
そして扉を潜る。
潜った瞬間異変が起きた、マルスはすぐに手に持っていた剣を見る、だが確かに持っていたはずの剣はどこにもなかった。マルスは絶望した。もうあの剣が手に入ることはないのかと、何度も手を確認する。するとマルスの手の甲に身に覚えのない紋様が浮き出ていることに気づく、それは中央に剣、その周りを太陽のような図が囲んでいる紋様だった。マルスは目を閉じて自身の魔力の流れを感じる。
これは内視法といい自らの魔力の流れや体調などを見ることができる。上達すれば相手の体の中も見ることができるため重宝しているマルスの技の一つだ。
そして自身の左手甲に感じる今までにない力、その力はマルスに語りかけているように感じマルスは感じるまま言葉を紡ぐ。
「顕現せよ、アポロ」
すると左手甲にある紋様が光だし、次の瞬間炎の化身が現れた。
〝我が名は太陽神アポロ、お呼びでしょうか我が主〟
「‥‥‥」
マルスは‥‥‥正直がっかりした
ここは普通可愛い女の子だろ、と
だが実際に現れたのは筋肉ムキムキので上半身裸の男、マルスは心底がっかりした。
ついさっき愛していた女性に裏切られたにも関わらずそれはもう床に膝を着くほどがっかりした。
〝主?〟
マルスの様子を見てアポロは不思議そうに問うた。両腕を胸の前で組み首を軽く捻りながら‥それを見てマルスは深い深いため息をついた。
はぁ、やっぱり俺にはラブコメはないのかな?
そう思い直しマルスは立ち上がりアポロに問う
「主って俺の事だよな?」
〝うむ、その通りだ、〟
「お前はさっき太陽神って言ったが神様なわけ?」
〝その通り、ただ神にも序列がある。私は中級神だ。〟
「中級?じゃ上級と下級もいるの?」
〝うむ、簡単に言えば上級は破壊神や時空神のようは万物の断りから外れた神だ。中級は私のように太陽や海と言った広範囲を司る神、そして下級は信仰によるがその土地や場所の神になる。〟
なるほど、じゃたまに村で聞く山の神や祭ってある祭壇の神様とか下級神扱いで
アポロのようや太陽や海、みたいな広範囲を司るのが中級神になるのか、なるほど、なるほど、
「じゃ、その中級神様がなぜ俺を主と呼ぶ?」
たぶん下手にでないといかないのだが、なんとかなくそれは違うと直感が叫ぶ、なので意図して横柄な態度で振る舞うことにした。
〝それは分からぬ〟
「は?」
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