エピローグは未華子から

ホテルのパーティが終わった後

夏帆とHOTELの10階にあるBARに

飲みに行った。

又未華子とマシンガントークを

繰り返しそうで車で朝まで寝ていた。


その日マンションに未華子の好きな

レモン抹茶ケーキを買いに行き

未華子の好きなサンドイッチ

ピザを両手に抱えマンションに

帰った。



この間の喧嘩に加え又未華子が

何か言って来るのは想像できた。

今回は謝ろう。

勇気を振り絞り玄関を開けた。


「たっ、たっ、たただいま!」

返事は無かった。

未華子が寝ているであろう

寝室に向かう勇気も無い‼

風呂に入ってリビングでうたた寝を

して目が覚めたのは

昼の三時頃だった。


イラついた俺は寝室へと向かった。

「おい、未華子いい加減に

しろ‼」

バアアア━━━━━ン

と開けたドアの向こうには

綺麗にベッドメイクがしてあり

未華子の姿は無かった。


((유∀유


ハッとして携帯を開く。

そこには未華子からの文面が

ツラツラとならんでいた。


「嘘だろ?未華子が出て行った?」


ꉂꉂあははは

又脅しか!


でも・・💧


昨日は確かにバーに夏帆と行った

しかし何人もの社員もいた。

皆で飲んで、ソコソコで別れた

俺は同じ方向の社員とタクシーで

帰ったし、夏帆も別タクシーで

帰ったんだ、やましい事は無い‼


そりゃ夏帆からのアプローチは

あったがずっと気付か無いフリを

していた。

それでいいじゃないか‼



「蒼生さん、お弁当‼」

あの日から夏帆は手作り弁当を

しょっちゅう抱えてやって来る。

何かとくだらない用事を作って。


俺は未華子と寄りを戻す作戦を

仕事そっちのけで考えているのに

横でピーチクパーチク

煩い!


「父がね、二人で旅行行って

来いって言うのよ

ね、ね!何処がいい?

ハワイなんかどう?」

お━おおお‼

話が聞こえた社員は声をあげた。


机から蒼生は顔を上げて

信じられないという顔をした。



「夏帆さん、俺には愛する人が

居ます。

誤解される発言は如何なものかと

思います。

会社絡みの飲み会、接待は

喜んで参加します、が‼

旅行の誘いは誤解の種です。


多分社長は何人かで、と言われた

はずです‼

(そんな事は言ってないだろうけど

夏帆に恥をかかせないため付け

くわえる。)


「え・・・ええ勿論。」


「僕は彼女を愛してますし

僕は彼女が別れたいと言っても

受け入れませんから‼」


未華子に聞こえるように叫ぶ。


イライラしてる時に言われ

しかも仕事中、イライラが加速。


しかも弁当渡されたら

未華子に誤解以上の確信を持たれ

てしまう。

此処でキッパリと断ち切るつもりで

声を出した。

皆に聞こえるように‼


案の定皆注━━━━目‼

夏帆は頬を赤くしてオフィスを

出て行った。


社員の大半は最近の夏帆の態度

から蒼生が婚約者から夏帆に

乗り換えたんだとヒソヒソと

噂をが立っていた事もあり

皆に真相を伝えられた。



あ〜ぁ

「スッキリしたー流石

蒼生さん。」


「ねえー社長令嬢だからって

通い過ぎよ、なんでも

上手く行くと思うなよ。

苛つく‼」


「社長も、甘やかし過ぎよ‼」

そんな声が何処そこから上がった。

未華子にはその声は聞こえなかった

個室に入り、海外への商品の説明を

電話でしていた。


未華子は蒼生のマンションから

3駅離れたマンスリーマンション

を仮住まいにして

住む所を探していた。

この辺なら蒼生と夏帆にバッタリ

合う事も無いだろう。


本格的にマンション購入をしょう

と思っていた。

一人立ちする、その為に‼

未華子は30過ぎてやっと自立する

決心をした。



部長が慌ただしく入って来た。

「課長、社長が呼んでいる

直ぐ行きたまえ!」

遂に来たか!

社長の事だ、娘に甘々だと噂には

聞いていた。

蒼生の交際相手を興信所使って

調べたのだろう。

未華子には想定内だった。


「失礼します。」

大きなドアに金色のプレート

黒字で社長室と書いてある。


夏帆がドアを開け

「社長がお待ちです。」

と一声かけてニンマリして出て

行った。


大きな窓が開かれ観葉植物が出迎える

でかい欄の花が何鉢も飾られている。


中に入ると社長が立ち上がり


「仕事中、すまないね!」


そう言いながら人払いして、社長と

2人っきりになった。


社長はソファーに座るように

進めると口を開いた。


「どうだね!

仕事は上手く行ってるかね?。」


「はい、中々面白いので

やり甲斐があります。」


「・・・そうか‼」




「関田くん、東南アジアで

持っている力を発揮してみないか?

今、有能な人材を探していてね

本社からも2、3人派遣するんだよ。

我社は君をその一人として、

押している。

勿論、それなりのポストは

用意するつもりだ。」


「ええ・・ええ私がですか?」


「どうかね!

住む場所も飛び切りのマンション

だし、給料も倍払おう。」


「あの、それは娘さんが

関係していますか?」


「は、ハ、ハハハ娘?

何の話だ?

何故娘が関係してると

おもうんだ?

君の実力を私が見込んだんだよ!」


社長の眉がピクピクと動いたのを

未華子は見逃さなかった。

間違いなく邪魔ものは消すテキな

左遷だ‼


「はい、少し考えさせて

下さい。」


「勿論だよ。

返事次第では君の身の振り方を

考える事になるが・・


了承してくれよ‼」


見えない圧力をかけて来る

噂以上の親バカ‼

娘も娘なら親も親だ‼


病気の時も点滴打ちながら出社した。

サービス残業も構わず頑張った。

何回もお得意様回りをしたし

部下の失敗も寝ずにホローして来た

その仕打ちがコレ?

こんな会社に尽くして行き遅れの

御局様と嫌味を言われ

・・・ハハハ笑えるwww


しかし東南アジアか‼

行きたい気もする。

違う世界が開けそうな気もする。


しかし日本食と離れるのは辛い。

行ったら何年と帰れ無いだろう。

塩辛に飯

卵かけご飯

鯖寿司

etc.

ううう、無理かも知れない‼


「自主退職・・・会社の思う壺か、

悔しすぎるwww.」

ポツンとカフェでコーヒータイム

なんか蒼生に相談したくて

葵生に堪らなく会いたかった。


会ってどうする訳も無く

無性に会いたくなる。

後何日かで蒼生もアメリカに帰る

だろう。

そろそろ本当の事を言わなきゃ

行けないなーぁ。

そんな事を考えながら生パスタ

ボロネーゼの大盛りを注文する。


ボロネーゼは何故か考え事を

する時に良く食べる。

パスタも食べ切る頃

窓外に見慣れたイケメン発見‼

未華子はフォークを置くと慌てて

スマ〇のボタンを押した。


電話に気づいた様で蒼生の手が

ポケットに滑り込む!

「蒼生さ━━━━━ん」

何人かの女の子が、連れ立って

歩いている社員を押しのけ

蒼生に飛びついた。

携帯をまたポケに戻すと

蒼生は笑いながら七、八人と

たのしげに歩いて行った。


ガタンと腰を落とし携帯の発信を切る


「な━━━━にやってんだかなぁ

ヤッパリあの弾ける若さには

勝てないか━━━━━‼」

若い子と食事した方がたのしいよね。


出戻り御局様と食事しても

味気ないよね。

私だってオッサンと飯行くより

若い子がいいもん。」

未華子はスパゲティーを食べ終わる

と店を出た。

11月の寒さは不機嫌だ、

9月のような気候もあり

12月のような寒さもくる。


彼もこんなかなぁ

蒼生はまだ結婚は早かったんだよ

自由は彼のポリシーだ

多分自分も気づいていない。


未華子も蒼生との結婚で

ヤキモチ妬きだと知ってしまった。

何時も側にいて甘やかしてくれる

そんな彼氏が未華子の理想だと

知ってしまった。

今更気づいたか‪w‼

だから騙されていても好きだ好きだ

と言ってくれた歴代彼氏は年上で

安心しきれたのかもしれない。


包容力を求めながらも

蒼生に惹かれていく

理想通りに現実は動かない。

蒼生は自由主義で独占されるのを

毛嫌いしている。


「もう本当に解放してあげなきゃ」

未華子は本当にそう思い、重い腰を

あげる決心をした。


「もしもし、未華子、電話した?」

蒼生の不機嫌な声がする。


「ごめん、迷惑だったかな?

デートだった、もしかして合コン‼」


「は?合コン?デート?

嫁いるのにそんな事しないよ笑」


「女の子いるじゃん。」


「・・・又ストーカーでもしてるの?」


「違う、

ンな訳ないし。

さっきカフェの前で

女の子と歩くの見たから

ストーカーなんて、怪しい事

してないよ笑安心して‼」


「そう‼なんかゴメン‼

言い過ぎた。」


「大事な話がある。

蒼生が安心する話だよ!」


「は?ナシナシ‼

又別れ話か、俺は受付ないから‼

ってか、いい加減帰って来いよ!

話はそれからだ‼」


「アメリカにいつ帰るの?」


「後2週間だけど‼

着いてくるなんて言うなよ

どうせホームシックになるんだから

ハハハハハ」


「それは大丈夫、ついて行く

なんて意味無いし、安心してよ。!」


「今日会える?

遅いの?

お持ち帰りは今日は

遠慮してね。」


「だからそんな事してないって!

もう少し飲みたいかな?」


「じゃあLIN〇で良いかな!

私会社から海外へ行けだって」


「は?どこよ!」


「東南アジア」


「蒼生、喜んで送り出して

くれる?」



「決定か‼」


「うん。社長直々にね。」


「今から帰るからマンションに

いてよ。」

蒼生は慌ただしく電話を切った。


それから40分して蒼生は帰って来た

ソファーにドッカと座り

ネクタイを外しながら

「いつ、言われたの‼」


「今日の昼」

未華子は買って来たビールと

コンビニで買ったスルメとチョコを

蒼生の前に置いた。


「それより、今何処にいるの?

帰らない、つもりなら

考えがあるよ。」

不機嫌な顔をしながら蒼生は未華子を

睨んだ。


「離婚?するかとでも言うの?」


蒼生はパッと顔を上げて

未華子を見ながら


「離婚ハハハ?


未華子はどうなの!

別れたいの俺と‼

でも、あんまり帰らないなら

良いね‼ その手もありだね

結婚してる意味ないしね。」


「・・・・」



「名案じゃない?


蒼生がそう思うなら話が早いワ。


その事だけどね。

蒼生、貴方と私はもう縁が切れてるよ!

私達、離婚は成立してるの。

もう・・他人‼」


蒼生はプシュッと開けた缶ビールを

持ったまま、固まってしまった。


それを見た未華子がボソッと

言った。

「蒼生、言ったでしよ。

何時でも出してって

だから次の朝速攻で出した。」


「はぁ‼あ、だから有給取ったの?

で、でもゴミ箱の中・・


は?は?待って、待って‼

どう言う事


出したの、は?離婚届出したのか

マジかよー」

蒼生は叫んだ!


「ウンそれ伝えたくて、もう蒼生は

独身、だからストーカーもしないし

飲みに行くのも何も言わなかった。

だから蒼生の側にどんな女性が

いても大丈夫だよ。

私には権利無いから。

今まで黙っててゴメン

蒼生が誰かに取られるの怖くて

言えなかった!」


「マジかよww」


「私の事ストーカー呼ばわりして

私が多少傷つくとは思わなかった?

妻だったんだよ

離婚届は紙切れだけど

ならば婚姻届もたかが紙切れ

って言える?

生まれも育ちも年齢も違う赤の

他人が

家族になりました、の証明が

婚姻届ならば家族を辞めました

赤の他人に戻りました‼️の

証明が離婚届でしょ

紙切れ1枚と笑うなら

家族の証明はどうやってするのよ

法が定めた家族の証明を

法的にやってくれるのが貴方の言う!

たかが紙切れなんだよ!


デモそれは、されど紙切れよ!」


未華子も蒼生に負けないくらいの

大きな声を出して言った。


「蒼生を解放するには

離婚しかないでしょう。

貴方を解放するには、私も納得しな

くちゃいけない、だから提出した。


気持ち悪いって思われたくなかった。


これからは、私と離れて

自由に生きて。」


ゴクゴクゴク


蒼生の喉を流れるビールの音が

響いた。


「気持ち悪いなんて本気な訳

無いだろ!

俺は未華子が好きなんだから

・・・」


ハア

ソファーに項垂れ、蒼生は動かなく

なった。



「蒼生、蒼生‼」

未華子の呼び掛けに頭だけ起こして

彼は言った。


「紙切れ一枚で、家族にも

他人にもなれるんだな!

すげーな!縁がキレるんだもんな‼」


「確かに‼️でも書いたのは蒼生の

意思だよ。

蒼生に書いてと言ったら書いた

縁を自らの意思で蒼生が切った。


私は書いて無かった。

離婚する気は無かったと思う。

私が離婚届を渡さなくても

蒼生はきっと貴方から私に

離婚届を渡したとおもうよ

少し早かっただけだよ。

所詮赤い糸なんて蒼生と私を

結ばなかったんじゃ無いかな!


お互い運命の人は別にいるよ。」


蒼生は馬鹿にしたような顔を

未華子に見せ鼻で笑った。


「蒼生と私は違いすぎる

お互い違う人を探そう。」


「何がだよ!💢

何が違うんだ‼

未華子だましたのか?

ゴミ箱の離婚届はダミーだったのか‼

俺を騙して笑ってたのか!💢


なあ‼

俺はアレを見て・・・


安心していたのに!

さぞや面白かったんだろうな‼」


「違う、あれはイラついて

予備にもらったヤツを捨てただけよ‼

騙してなんかいない💢

蒼生は自由主義

結婚しても縛られたく無い派

私は常に一緒に居ないと不安‼


何処にいるか

誰といるか

何をしているか‼


気になるの

落ち付かないし

好き好き言って貰わないと

不安‼」



「・・・え?( ; 0ᾥ0 )」


「多分病気‼

だからつけまわすんだよ!

そんな気持ち悪い私が蒼生と

暮らせる?

蒼生はほんとに気持ち悪いって

思うよ。

無理だし、きっと嫌になるよ

離婚は、正解なんじゃないかな!


蒼生もウンザリしてたじゃない。

もう離婚届は受理されてるし

もう他人何だから、受け入れて‼」


蒼生は飲みかけのビールを一気に

煽るとテーブルにブババーン‼💢

とカンを置いた。


「で‼ どうする?」

蒼生の問いかけに


「会社も辞める。

叔母さんに頼んで、嫁に行くよ

お料理学校に行って花嫁修業でも

するかな(笑)」



「バツイチだぞ‼」



「バツ1でも2でも私を気にいって

くれる人ならそれでいいし。

もらってくれる人がいたら

一生懸命尽くすつもりよ。

子供も沢山産む‼

好きでいて貰えるように頑張る(笑)」


「あの離婚届は不履行だ

本気なわけないだろ!」



「じゃあ、帰るから

お邪魔しました。

蒼生も幸せになってね。」





バタン

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