2週間目のスピード離婚
「だってサ
そうだろ?
浮気していないのに、した前提で
怒鳴って来るし
ありえなく無いか‼
食事も仕事の範囲内だし、接待だよ。
するのもされるのも、し・ご・と‼
未華子も課長職なワケだし、
分かるはずだろ?
ダロ‼」
「蒼生、勿論分かるよ!
分かってますって‼
でも、今日は接待云々じゃないよね!
デートの間違いじゃない?
社長も来なかったみたいだし
楽しそうだったし私の悪口で
随分盛り上がったんでしょうね‼」
「は?」
「しかも仲良くタクシーに乗って
何処行ったんだか!
まさかホテル?」
「は!ホテル?
あの後は彼女の知り合いのバー
に行ったんだよ
社長が急に来れなくなって
お詫びにって言うからさ‼」
「ブッ`;:゙;`;:、
馬鹿か‼作戦よ!作戦‼
アンタも騙されたフリしてノコノコ
着いて行ったんでしょ。
ん・・・でも怪しいなぁー
蒼生は賢いもん。
そんなん直ぐ分かるよね!
場数も踏んでるようだし‼
私は、騙され無いからね‼
アンタ、狙われてるフリして
狙ってんじゃん⤴︎︎⤴︎︎?」
「何にも知らない癖に
部外者は口出すな‼」
「アレ、社長令嬢に夢中になって
忘れてませんか━━━━✖
わ・た・し・まだ‼ 蒼生の妻
つ━━━━━━━ま、なんですケドッ‼
何処が部外者ヨ💢」
「は?そうだったナ‼
す━━━━━━━っかり忘れてたワ
じゃあ妻辞めるか?
イライラしてるし
夜中怒鳴り散らすし
俺たち世間一般で言う新婚だぞ!!
旦那様はお手上げだ‼
たまんねーわ!
目釣り上げて文句三昧、俺
未華子とは無理かも知んないな‼」
蒼生はニタニタしながら
憎たらしい笑顔で未華子の顔を
覗き混んで来た。
「ははぁーそうかぁー
やっと手に入れた妻の座が
危うくなって来たから慌ててんの?
安心しなよ
妻で、い・ら・せ・てやるからサ
つまらないヤキモチは迷惑ぅ〰
なんですぅけど━━━━ぉぉお⤴︎ ‼」
蒼生は上着をバササーっと
ソファーに投げドッカと腰を
下ろし、未華子を挑発するように
ゆっくりとネクタイを緩ませた。
マウント取られて蒼生の優越感が
ヒシ、ヒシと伝わって来る。
未華子はキ─︎─︎ッ!!
「私達の結婚は急だったし
流れに押された感もあるよね‼」
「そうだな!(笑)
思い付きとも言えなくも
な・い・か?アハハ」
「蒼生は間違いだったと
思ってるの‼」
蒼生の返事次第で未華子の決断も
決まる。
「あんなに好きだって
言ってくれたのも、気の迷いなの?」
黙ったままソッポ向く蒼生に
再度聞いて見た。
沈黙の時間はピリピリと流れ
「そうかもダナ‼
だってサ旦那の後つけて
接待先迄追いかけてくる嫁って
聞いた事ないし
正直気持ち悪くないか?
俺だけ?そう、お・も・う・のか?
お前はドン‼
ストーカ?か?」
「それは、彼女の態度、社長の
態度が怪しかったから
ピンと来たのよ。」
「お前、マジやべー奴」
蒼生は未華子をにらみつけてポツリ
と呟いた。
「ねえ蒼生、ほんとにホントに
私の事、気持ち悪い?
ヤバイ奴って思ってる?」
「思うでしょ!
見張られてるし、ヤバイダロ‼」
蒼生の怒りは収まらなく
声を張り上げる!
それを聞いて未華子の決心は
固まった。
未華子はバッグを焦り
ハンカチ・⌒ ポイ
リップ・⌒ ヾポイ
そして出てきた離婚届をテーブルに
出した。
その間も蒼生の愚痴は止む事も無く
「今から接待なんて沢山あるさ
その度にこんな調子なら
あーウンザリだよ。
楽しくないし、時間気にしながら
接待したりされたりは
気が気じゃ無いよ。
上手く行く商談さえ逃がしちゃうし!
未華子が改め無いなら考える‼」
イライラMAXの蒼生は冷蔵庫から
ビールを取り出し
グビグビグビ━━━━━
一気に飲み干し、カンを
グチャリと可成の力で潰した。
「じゃあコレ書け書けポンポン」
テーブルの上のサラサラした紙を
トントンと指さし
蒼生の書き込む欄にペン✒️を置いた。
蒼生はハッとした顔をしたが
それを見た未華子は
「後悔してんじゃねーの‼
こんなストーカが嫁で‼ヘヘン
怖いんでしょ、気持ち悪いんでしょ
あ‼
それとも嘘かアハハハ
私の事スッキなんだぁー
そーなんでしょ。」
蒼生は
「ペンを握りワナワナワナワ」
蒼生は勝ち誇った未華子の顔が
こ憎たらしくて仕方が無かった。
「ありゃりゃ蒼生ど━━━━した?
余裕でしょ━━━━う。
私のストーカに耐えられないんだよね
そう言ってたモンね━━━━━ぇ‼
結婚、考えなおすんダヨネ‼
あんなに愚痴れば書けるよね
普通‼
自由になれるよ、御喜蒼生って
4文字勝負だよーぎゃははは」
未華子はニタニタして蒼生を挑発する。
蒼生はバツと紙を引き寄せ
サラサラサラサラー
「印鑑‼」
未華子が印鑑持ってスタンバイ
ハッハツハツハツ
と必要以上に息を吹きかけ
シワが寄るほど印鑑をギュュウ押し当て
ポンと力いっぱい印鑑を投げた。
カンコン・⌒ ポイ コンコンコン
印鑑はテーブルに当たりバウンド
してフローリングの床の上を
転がり、ドッカ行った。
「未華子、コレでいい?ホレ
晴れて他人ダナ‼」
蒼生はそう言うとニンマリ笑い
離婚届をピラピラと振った
それを、ポイと未華子の頭に乗せた。
う~ハアー
蒼生は背伸びをしてコキコキと
首を左右に振り
スッキリとした顔をして浴室に
消えた。
サラサラサラサラーと書かれた
離婚届を見てフッフッと怒りが
込み上げて来る。
「本気で気持ち悪いと、思ってたんだ
ほんとに書くか?(笑)」
離婚届を震えながら見つめていた。
32と24、お肌の艶も違う。
確かに若い方がメリット大
リンゴでも皮を剥かれお皿に
乗っていても、木にぶら下がる
リンゴはそれだけでも美味そう。
そんな違いだよね。
蒼生の気持ちも分からなくは、無い。
「でも私達新婚だよ。」
貰ってきたもう1枚の離婚届に
ペンでグルグルグルグル
イラつきに任せペンの先が変形
する程押し付けて
バッサバッサバッサと破りちぎる!
くそくそくそ━━━━━っ‼
ハアハアハアハア
「なーにがオバサン化よ、
あんニャロ‼
ぜーったい後悔させてやる‼」
浴室に向かい臀蹴りかましたいが
我慢、我慢、
32は女盛りだっちゅーの‼
未華子は勢い余って
頭を冷やす為マンションの回りを
走る走るひたすら走る‼
夜中にスカートで走るのは可成
怪しいヤツに見えたであろう。
しかも髪はボッサボッサー
目はギンギン‼
そのままコンビニに走り飲めない
芋焼酎にプリン、豆、ポテチを
買い込み帰還した。
コンビニの店員さんはビビって
いたから多分化け者でも来たかと
思ったんじゃないかな?
時間も時間だし。
「人間ですから安心して‼」
そう言ってきた。
未華子は中、高と陸上部、足には
自信がある。
コンビニで買い出した物を
ダーッシュで走りマンションへ帰る
ハアハアハアハアハア
マンションの前で息を整える
気持ちも落ち着いた所で
エレベーターに乗る。
やっと慣れてきた我が家に着くと
ソファーに座り
芋焼酎をごくごくごくウッ
アルコール強いやっぱビールと
選手交代
ボリボリバリバリ
ぷふあ~うめえー
ポテチの塩気とプリンの甘さ
豆食った時の口のザラつきに
誘われもう一本
もう一本
ビールに焼酎を混ぜ混ぜ、この際
味にはこだわらない!
酔っ払えばそれでいい
よって忘れたい
蒼生の事を、愛した事を蒼生を
蒼生を大好きな事を・・・
忘れてやる。
蒼生を忘れる前に秒で寝てしまった。
半身浴から上がった蒼生は
酒も抜けていた。
ふと見るとゴミ箱に離婚届がめちゃ
くちゃに破られて捨ててあった(笑)
内心ホッとしていた。
風呂に入って反省していた。
言い過ぎた。
未華子のヤキモチも
行き過ぎだが、午前様の蒼生にも
非はある。
俺も未華子と別れようなんて
これっぽっちも考えてはいない。
もしあの離婚届が破られて
いなかったら、未華子から取り上げ
ビリッビリに引き裂くつもり
だった。
ヤッパ喧嘩の後って顔を合わせ
辛い。
すぐ寝室に行きベッドに潜って
眠った。喉が乾き目が覚めたら
隣に未華子が居ない!
慌ててベッドを降りてドアを
バアアアーンと開け
リビングに走る
ビール瓶を枕に眠る未華子を
見つけホッとする自分がいた。
未華子の荒れようはリビングを見たら
よく分かる。
プリンも、豆もボロボロ散らかって
ポテチはスッカラカーン
蒼生も酒が入っていたから
「確かに、言い過ぎた!」
蒼生はテーブルに置かれた1.8の
芋焼酎を見て⊙ ⊙ギョッとした。
半分なくなっている。
未華子は酒に弱いハズ
大丈夫か?
食い散らかされたプリンを片付け
ビールのカンを拾いながら
未華子をチラチラ眺める。
こんなに荒れた未華子を見たのは
初めてだった。
「ごめんな‼」
未華子の頭の下からビールを抜き
ソファーに横になる未華子に
毛布をかけた。
未華子は猛ダッシュの疲れと酒と
悔し涙の疲れでグッタリと
眠っていた。
蒼生はボロボロの未華子を
見て、未華子の涙の後を見つけた。
「泣いたのか?」
蒼生は未華子に連絡さえすれば
こんなに泣かせる事も
無かったと反省した。
時間は朝6時を回った。
「おはようございます
蒼生君。」
「へ?あ、アおはよう
・・ございます!」
「さあご飯ご飯」
未華子は、近くのパン屋さんで
サンドイッチ、ピザを購入
未華子が料理ベタな事を未華子の
母から聞いてなるべく
スーパーや惣菜屋のある場所を
選んでこのマンションに決めた。
ちょっと違和感はあるが
普通の朝に蒼生は安心していた。
「今日私、有給取ったの
繁忙期も過ぎたし!」
「そう、じゃあ今日は・・・
早く帰るよ。」ŧ‹”ŧ‹”
「そうですか、
もう大丈夫なのに(笑)」
「え?」
「なんでもないですよ。」
蒼生はまだ怒ってるかと思い
「今日、未華子の好きな
レモン抹茶ケーキ買って来る
から、好きだろ!」
「・・・いいです。
勿体無いし!
買ってきても食べる気無いから
いりませんよ。」
「いい加減機嫌直して、ね‼」
蒼生はサンドイッチをパク付きながら
未華子を見つめて言った。
「もう怒ってませんよ。
大丈夫よ。」
蒼生は他人行儀な未華子に
違和感を感じながら仕事
へ向かった。
蒼生が仕事に向かい家の片付けを
済ませると未華子も支度をして
市役所行きのバスに乗った。
市役所には大学の友人2人が
勤めているので昨日のウチに
電話して早めに出勤して貰っていた。
バスを降りると市役所のロビーで
二人は待っていてくれていた。
「未華子久しぶりー」
親友の和歌と恵子は大学が一緒で
いつも遊び歩く仲良しだった。
和歌も恵子も婚期を逃す事無く
ご結婚‼今では家庭を支えながら
仕事もこなしている。
「ごめんね、変な事、頼んじゃって」
「全くよ!
いつ結婚したのよ‼
スピード婚してスピード離婚かぁ
いくらスピード時代って言っても
早すぎじゃない?(笑)」
「もっと考えなよ!後悔しない?
大丈夫?」
和歌も恵子も、もっと話合う事を
進めてきたが昨日の事を話
「気持ち悪いって言われたー」
「オバサン化して云々」
特にこのフレーズが許せ無かった。
未華子の、強い決心を見た和歌も恵子
も未華子の性格を知っているが為に
仕方なくサインした。
離婚届は婚姻届から二週間後に
受理された。
その日、約束通り未華子の好きな
レモン抹茶ケーキと花を抱え
蒼生は、帰ってきた。
今日から夫婦ではなく
晴れて独身、蒼生も離婚届けを
書いた時点で覚悟を決めたん
だろう。
ルームシェアになった私達。
未華子も蒼生に対して友人として
振舞おうと思う。
蒼生から少しづつ離れて・・・
離婚届の事を蒼生が聞いて来るまで
喋らずに居ようと思った。
少しの復讐、暫く再婚
出来ないように、あの社長令嬢と‼
こうやって蒼生への気持ちがある迄
蒼生のそばにいたいと思うのは
我儘かも知れない。
しかし彼への気持ちはまだ断ち切れ
ない。彼が夜帰らなくても
彼女に傾いても
もう未華子には何の権利もない。
そう思えるように離婚した。
だからストーカと呼ばれず、
気持ち悪がられる事もないだろう。
未華子はヤキモチも妬かない
うるさくも言わない
だってもう他人なんだから
蒼生と私は納得した離婚‼
蒼生がサインした時点で気持ちは
お互いに離れる決心を
したのだから・・・
関係ない。
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