賢一

ふと後ろから呼ばれ振り向いた。





「久しぶりだな!

会社でも中々会えないし


今日歓迎会なんだって?

別会社の男の‼」


「・・・・・う、うん。

女の子が盛り上がっちゃって

彼モテモテなの。」


「なあ、今日飲み直さないか?

今からでもいいぞ

会いたかった。」


賢一は付き合っていた頃と同じ様に

親指で未華子の前髪を撫でて深い

瞳で誘ってくる。


未華子はプイッと顔を背け


「やめて‼

もう付き合って無いし

彼氏でも無いんだから。」

そう言って突き放した。


「未華子も、彼ねらいか?

良い男だよな、アイツ!(笑)

若いし、あんなのは若い子に

任せとけよ!なぁ未華子」


「要らないお世話よ!

何で賢一が気にするのよ。」


「そりゃ━ぁ気にするさ

大事な彼女の部署だからさ

色々噂が流れてくるんだよ。

心配するのは当たり前だろ

俺、彼氏なんだからサ。」


未華子は、

「は?大事な彼女?誰の事よキッ

人を騙してたくせに

どの顔が言うの?

何年待たせるつもりだったの

笑わせないで‼」

キツイ目をして賢一を睨んだ。


賢一は済まなそうな顔をして

未華子を抱きしめようと手を伸ばした。

すかさず、肩を揺らし拒否すると

溜息を付きながら賢一が近付いてきた。


「未華子、どうしたんだよ?

妻との事怒ってるのか?


必ず別れるから信じてくれ

今妊娠してるの知ってるだろう。

言えないんだよ、

子供が産まれたら必ず話を付ける!

ちゃんと離婚する。」


「は?」

未華子は呆れながら呟いた。


「俺は未華子が良いんだ

会えない日ばかりで

正直、もう限界‼

未華子、愛してるんだよ。」


「はあ?はぁ?

あんな純粋な、奥さん騙して

あんたそっくりの子供捨てるの?

何考えてんの?

馬鹿ですか?あんた馬鹿ですか?」

クルリと丸い目は突き刺すような

眼差しを見せ賢一を軽蔑したかの

様なキッイ顔をしていた。


「み、未華子?

どうしたんだよ!」


未華子の思いも寄らない態度に

賢一は、驚いた

あの日のモールでの未華子の態度は

嫁に対するヤキモチですぐに

賢一の元へ返って来ると思っていた。


頑なに、頑固な未華子を賢一は

迎えに来たつもりでいた。


「私、結婚するのよ。

お見合いしたの‼」

未華子は左手の指輪を賢一に見せた。


「綺麗でしょ。

彼頑張ってくれたんだ‼

貴方は家族を愛して‼

もう関わらないでください‼」


賢一の顔が見る見る蒼白に変わり

危険を察した未華子は、

パッと立ち去ろうとした

しかし賢一の腕が阻止する。


「未華子愛してる、忘れたのか!

お前は俺の女だ‼

忘れたのなら思い出させてヤル‼

お前とは別れたつもりは無いし

別れる気も無い‼」


「やめてよ‼

賢一‼」


「お前の婚約者と話をさせろ‼

お前が教えなくても

誰なのか、調べれば分かる‼

隠しても無駄

俺の女を取ったバツは受けて貰うぞ‼


俺との事を婚約者に教えてやるよ

お前がどんな風にしたら

喜ぶか、喘ぐか、

そりゃ詳しく、親切にな‼」


「キッ、やめて‼」


「じゃあ婚約者と別れて来い

婚約破棄の慰謝料は俺が払ってやる。」


「は?はぁ?」

賢一の俺様ぶりに呆れていると

蒼生の声がした。


「未華子、何してる?もう

始まってるぞ‼行け‼」


「で、でもっ‼」


「部長怒ってるぞ!行け‼

心配するな!」


「う、うん。」

未華子は後ろを振り向き振り向き

居酒屋へと足を進めた。


イケメン二人は睨み合い


「彼女との話し合いだ、

引っ込んでろ。

余所者が邪魔するな‼」

賢一は蒼生の胸ぐらを掴み脅しを

掛けた。


賢一の掴んだ胸ぐらの手をグギィ~と

握り返し跳ね飛ばした。

賢一はギロリと睨み返し


「お前には関係無い話しだ

ウセロ‼」

と大声で叫んでいた。


「関田課長とは終わってるはずだ‼

諦めろ!」

蒼生も負けじと罵声をあびかける。


賢一は信じられない顔をして


「は‼は!?終わってはいない!

アイツが勝手に誤解してるだけだ‼

俺は妻と別れる気でいたんだ、

離れていて分かった。

俺は未華子が忘れられない‼」


蒼生は諦めの悪い賢一を睨んで

「未華子はもう俺の女だ‼

どうしても離れないなら慰謝料請求

する、一千万!

その金払わないなら裁判だ‼


そしたらお前は会社クビだな!ハハハ」


「そんな事したら未華子も

同罪だぞ‼」


「い━━━よ‼

未華子は会社辞めさせてアメリカに

連れていく。

あんたの奥さんへの慰謝料は

俺が払ってヤ、ル、よ。」


「・・・」


「あんた奥さんにも慰謝料請求される

し養育費は2人分だな‼

奥さんにもバレるし当然だな!

親権も取れないし俺も慰謝料請求する

上乗せしてな‼

敵と見たら容赦なくヤル。

悪いが手は抜かないからな‼

それに会社もクビだな‼

当然だろ、人の婚約者に手を

出そうとしてるんだから`✧ω✧´」



賢一は

「婚約者って、お前か?」


はぁ━━━っ

「平井賢一さん。

もう諦めて下さいよ。

未華子はもう、アンタの事

気にしちゃいませんよ。


未華子と付き合っていたなら

アイツの性格分かってるでしょう。


アイツは心が離れたら帰らない!

そうなる前に手を打つしかなかった‼

本当は、寂しがり屋で

ヤキモチ妬きで

可愛いんだよ。

俺の様に早めに手を打てよ‼

お前は、もうオソイけどな‼」


賢一はハッとした顔をして蒼生を見た。



「だ・・からアメリカから態々

帰ってきたのか?

未華子の為か?


この事業に手を入れて来たのも

その為か?」


「そうですよ。

生きてるうちにアタマ使わないとな‼

あなた潰すくらい何でも無いですよ(笑)

未華子に関わらないなら何にも

しませんよ!」


深い笑いを堪え賢一は

「相手が悪かったか?(笑)」


そう言うと項垂れて出て行こうとした。

「まて‼

未華子と撮った写真、全部消し

てくれ‼ 携帯を出せ‼」


「は?

お前にそこまでやる義理は無い‼」

賢一もまだまだ未練がある為

拒否して来た!


「悪用されたら困る‼」

蒼生は携帯を賢一の手からぶんどる

と、写真を見つけて全部削除した。

次いでにLIN〇もメールも削除

連絡先も削除した。


携帯をポンと投げると賢一の足元

に落ちた。


蒼生は

「もし、PC何かに保存してるの

なら直ぐ消す事だな‼


俺が奥さんにチクッて置くから

奥さんは直ぐ確かめるだろう。

きっと裁判迄行くと思うぞ!

今の平和な家庭をブチ壊すか、

決めるのはアンタだ‼


もし裁判になったら

俺は未華子を全力で守る

お前を奈落の底にブチ落としてやる。」


子供や、あんな綺麗な奥さんを

泣かせるのか?

お前はそれでも父親か?

子供はいずれ大人になる、

その時アンタはどうなるんだろうな?

裁判の記録は残るんだぞ‼」


「・・・分かった‼」

賢一は蒼生の眼力に怯み、この男

ならやりかねないとは思った。


賢一は、携帯を拾うと蒼生目掛け

ケリを入れて来た!

蒼生は透かさず交わし賢一の

顔面にブーメランキックがヒット

した。


口から血を出した賢一は

ただ、ぶっ飛びそのまま倒れた。


「未華子を諦めろ‼」

その体にもう一発トドメのケリを

いれた。


ドカッ!

「これは未華子に、嘘ついて

待たせた罰だ‼」


彼はピクリと肩を震わせ口惜し

そうに蒼生を振り返り見ていた。


「大人の男なら

引き際ぐらい綺麗にしろ‼

アンタが離婚して未華子に

迫っても、俺と未華子は婚約

している。


大量の慰謝料請求する手もある‼

奥さんにも慰謝料請求されて

アンタは借金返済に追われるな、笑」


捨て台詞を残し蒼生は居酒屋へと

足をむけた。



暫くすると向こうから

プリンプリンした女の子が

来るのが見えた。


「モウ━━━━ッ‼

蒼生さんっ‼

オ・ソ・イ~ィ」


ミクが٩(๑`ω´๑)۶ぷりぷり

ほっぺを膨らませ、可愛子ブリブリ

で手と足を交合に出し

迫って来る。


『秘書課のミクが何故いる?』


飲み会担当のミホに誘われた

らしい。この2人が合コン女子

と言うのは有名な話だ。


『うわっ、どこかのダンス部かよ(笑)』

この寒さの中ミニスカ、胸空き

鳥肌だってんじゃん。


その後を追うように五、六人の女子

社員に囲まれた。

蒼生はゴイゴイと引っ張られ

押されるように店へと消えた。


「蒼生さ━━ん、ココ ココ‼」

ドカッと腰を落とされ

「は━━━い、あ━━━━ん。」


口の回りに一斉に箸に摘まれた

唐揚げ、焼き鳥、サラダ、魚、

豚バラがツンツン ツンツンと迫って

来る。


「いやいやいや2歳児じゃ無いです

から自分で食いますよ。アハハ

親切過ぎますってぇ━━━

ア、ハハハハ…」


それを見兼ねた関田課長が、

動いた。


「ホレホレ、散れっ散れ‼

アッチに独身いるじゃない!

イケイケー‼

婚約者のいる蒼生さんは、私が

見ますからニカッ

ね━━━蒼生さん。」


「えー婚約者?

彼女じゃないんですうかぁ」

女の子達はもたつきながらプリプリ


「あ‼彼女じゃなくて、婚約者ですよ。可成のヤキモチ妬きで怒ると

怖いんで‼ チラ」


「ん、んんッそ、そうなんですか?」


未華子はそんな事ないわよー

テキな、顔をした。


「彼女どんな人ですかぁー

美人ですか?」

ミクは唐揚げにかぶりつきながら

ピンクピンクした唇をモゴモゴさせて

色っぽく聞いてきた。

女性ホルモン急上昇━


蒼生もビールをあおりミクの質問に

答えた。

「そりゃ美人可愛い系かなチラ」


「へえーそうなんですか?」

と、未華子は満足した顔でニッコリ


「ふう~ん

ミクより美人?」

ミクはVカットの豊満なチチを

さらに寄せて蒼生に接近する

プルンプリン


「ちょっ、ちょっと‼

ミクさん。」


蒼生もニタニタしながら胸を見て

見ぬ振り。

見ない様に頑張ってもプルリンとし

た胸が、目の前に放牧してある牛

の様にブルブルンしてるから

未華子が睨んでも

ど━━━━”しょうもナイ‼


未華子が段々不機嫌になり

ミホ迄やって来て、ミクに

「はい、交代‼」

そう言ってミホが上着を脱ぎ

またまたブルンブルン

足も蒼生にくっっけてきて

ハヒーΣ( Д ) ﻌﻌﻌﻌ⊙ ⊙

ミホの体を張ったアピールに負けじ

と女子社員も脱ぎ出した!


とうとう蒼生は逃げ出し

トイレへと向かった。


すかさずミクとミホも席を立ち

蒼生を追った。


未華子が追いかけると

捕まっていた。


「いやいやいや、俺婚約者いるし

無理無理‼」


「ゴラァ━━━‼

ミク、ミホ、やめなさい!

みつともない‼」

未華子は遂に溜め込んでいた

言葉を言い放った。


パッと二人は振り返り

「関田課長、彼氏いないからって

八つ当たりですかぁ~

若い私達に嫉妬してますぅー?

ヤダーみっともな━━━━━い‼

悪いんですけど蒼生さんは私が

貰います。」


「ちょっ、ミホ私が蒼生さんを

貰うの‼」

ミクはミホを押しのける。



け、生意気な小雀め💥💢💥

チュンチュン、チュンチュン

蒼生の回りをチョロンチョロン

しやがって目障りな‼プンプン

こんな小娘に真剣に怒っても仕方ない

と思い直し、


”大人な対応”



「ン、ンンッ、実は私も

婚約者いるのよ‼ホラー」ピカリン💍*。


「コレ、婚約指輪よ、どう?」


ミクとミホは未華子の左手に

飛び付きガバッと掴んだ!

オオーットヨロ

未華子はその勢いに負けてよろ付いた。


「ウワッウワッ

ホントだ━━━━━

彼氏いたんだぁ━━━━━(·0·)」

嘘おおぉぉ


「彼、この指輪随分たっかーいの

買ってくれたんだァー


御喜さんもそう思うでしょ、ね♡」

蒼生はニタニタしながら


「ウワッ、高そ‼このブルーダイヤ

天然物ですね。

珍しいんですよね━━━━

こりゃ相当高いですよ━━~~

彼氏さん相当頑張りましたねぇ━━━」


「えーええ、そうなんだあ」

未華子もビックリ‼

ミホとミクもツイ大声を出して

しまった。


その声にドヤドヤと人が集まり

関田未華子結婚遂に寿退社説が

浮上した。


ってか、誰か気づけよ

蒼生の指輪とオソロなんだからサ‼


と呟いたのに誰の耳にも届かない。









  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る