第3話 一筋の幸福
今はロッジがある森を歩いているよ!まあ殺風景だけど!
…
「物語っていうものはね?架空の人物、まあ実物も出ることがあるけど大体は架空の人物ね?その人が物語で生きている中の一部を切り取って、そこをお話としてしているんだよ?」
「えっと…どう言うことですか?」
「…例えばさ、今、君が生きてるじゃん?動物として産まれて、サンドスターが当たってフレンズになって、オオカミ連盟に入って、今は俺と旅をして、この先の未来、誰かとつがいになるかもしれない。未来はわからないけど、その人が生きていることはそれは立派なその人だけの物語だよ。これを前提にして、君で一つの作品を作り上げるとするなら…フレンズとして生まれた時からつがいになるまでを物語にするかな?その今言ったフレンズとして産まれた時からつがいになるまでを漫画なり小説なりそれを作品化させることによって他人に見られる立派なお話が完成するのさ」
「は、はぁ…」
「だから…ギロギロだとさ?作品はギロギロが推理をする内容になっているけど深く読みすぎるとそれはギロギロが生きている中の一部に過ぎない出来事なんだ。物語として出ていない…つまり舞台裏を見ればギロギロが産まれてから死ぬまでの物語はあるってことだよ」
「…」
「俺はね、作品に出てくる登場人物も、紙の中でも、機械の中でも、生きている気がするんだよ。架空の世界でも、その世界でその人は生きているんだよ。だから、粗末には使ってはいけない。オリジナルキャラクターも、既存の人物でも、植物も、動物も、粗末に扱っちゃいけないんだよ」
「じ、じゃあ今ここで草を抜いたらそれは植物を粗末に使っているってことになるんですか?」
「違う違う!草は大事でしょ?もしさ、森が無くなっちゃったら森に住むフレンズはみんな住めなくなっちゃうでしょ?」
「はい…」
「それと同じだよ!それを物語に出したらいくら地味でも、一瞬だけでもそれを光らせなきゃ!それに一度だけでも焦点を当てるとかなりいいものになるよ?まあ俺が言えたことじゃないけど…」
「…なんだかよくわかりません!」
「あはは!まあそうだろうね!」
「…ヤマトお兄様!」
「ん?」
「わたしにも長話させてください!」
「え?」
それ頼むこと?まあ受けるけどさ!
「いいけど…」
「ありがとうございます!えっとですね…今、私って悩んでるんですよ」
「うん。どういうことに?」
「昔、片想いだったフレンズがいるんですよ」
「うん。カエデだね?」
「まあ知ってますよね…それでビャッコ様に奪われて心におっきな傷ができたんですよ…」
「だろうね…」
「でも、最近また新しいオスを好きになっちゃったんですよ…それってダメですか?」
「うーん…それって難しい悩みだよねー。うん、わかるよ?…じゃあさ、そのオスはカエデのことを好きでいた時よりももっと好きって言う気持ちはある?このオスならカエデとつがいになっていた場合よりも愛することができるって自信はある?」
「え…いや…」
「だったらほかを探したほうがいいと思う。それか、そのオスをもっと好きになれるか、両思いになれるような環境を作ることだね」
「そうすれば告白も勇気が出て、両思いになったらつがいになりやすいんですか?」
「まあそうだね。基本はね?」
「基本的には?どういうことですか?」
あぁ…説明不足だったからね…
そこであることに気づいた!
「…ちょっと待って、森抜けちゃうよ?」
目線の先には光とオレンジとタイリクオオカミの家が見える。おい早いな!?
「あれっ!?ロッジの道間違えちゃいました!?」
「…まあいいでしょ!俺はこのまま森を抜けてオレンジの家に行くことをオススメするよ?」
「ですね!さぁ、行きましょう!」
実際言っちゃえば場所は大まかになら知っている!ゆきやまと森のちょうど間…だよね?
…
「よしついた!」
森を抜けてちょっと寒くなってきたあたりにやっぱりあった!
「オレンジお兄様、驚くんじゃないでしょうかね?」
「え?なんで?」
「その服装…前に一度オレンジお兄様が着ていた覚えがあります…」
「あぁ、そんな描写書いた覚えがあるよ!」
シャツの上に白のワイシャツの上に黄色のニットを着て、その上に青いジーンズの上着を着てるからね。家じゃこんな服装じゃなかったのに。
「オレンジお兄様ー!」
気づけば呼んでいるよ。早いなぁ…
「はーい!その呼び方だと、イタリアオオカミだねー?」
「お久しぶりです!」
…オレンジだ…俺の憧れ、イメージ、理想を全て注ぎ込んだ俺の最高のオリキャラ…
「久しぶり!最近みんなと連絡取れないもんで連盟の集まりが開かないからね、ごめんね?」
「大丈夫です!」
「でー…なんの用かな?」
「えっと…彼、知ってますか?」
「…!僕と同じ服…?ごめんね?君の名前は?」
「…ヤマトって呼んでくれ?」
「ヤマトね…?えっと、僕の名前は」
「おっと!言わなくても大丈夫だよ?君の名前はオレンジ。タイリクオオカミのフレンズでタイリクオオカミとつがい。3人の子供がいて、オオカミ連盟のリーダーでもある…こんな感じだね?」
「…なんでそんなに知ってるのかな?僕が知っているフレンズはたっくさんいるけどその様子だとヒトだね?」
「うん。人」
「ん…?何かあったのかい?」
タイリクオオカミが来た!…俺の推しの1人。かわいいよねぇ…
「えっと…またヒトかい?」
「はじめまして…俺の名はヤマト。気軽に呼んでください?」
「あ、あぁ…わかったよ?」
「急に態度が変わりました…?」
「…オレンジになら話してもいいかな?」
「ん?どゆこと?」
「…ヤマトとオレンジ…雰囲気が似てるのは気のせいかい?」
「その理由だってもちろんあるよ?」
「…まさか昔?闇の心だったら…切り裂いてあげてもいいけど?」
ちょっとちょっと!?間合いとか気にせずに大太刀を首に当てないで!?
「ふふっ…刀の使い方が間違ってるよ?でも、そんなこと気にしない気にしない…あ、闇の心じゃないからね?そしたら四神とかカエデが報告してるからね!」
「じゃあ何?」
「俺は…君たちを創った人だよ?」
「え?」
「信じられないと思うけど…君たちが生きるこのパーク、君たちの歩んできた人生は全部、この俺が創った物語だよ?」
「え?」
「だから、今まで頑張ってきたこと、苦労したこと、全部俺が作ったものだよ?」
「…なるほど…ヤマト」
そのまま歩み寄ってくる。何々!?
「ありがとう!」
「え!?」
そのまま抱きしめてくる!俺の中の最高のオリキャラに抱きしめられるなんて想像もしなかったんだけど!?
「ヤマト!君が僕たちの物語を想像してくれなければこんな幸せな家庭は築けなかった!君には本当に感謝している!」
「は、はぁ…」
「そういうことなら、私からも感謝するよ?」
「君がいてくれたから…!僕はオオカミとつがいになれて!幸せになって!子供も3人作れたんだ!」
「…君たちが幸せでいてくれて何よりだよ!俺からも感謝するよ!」
そのあと、しばらく玄関で話してたけどずっと立ちっぱなしもなんだと思ったオレンジが家に案内してくれた。マジ嬉しい!
…
「…で、さっき刀の使い方が間違ってるって言ってたけど…何か知ってるの?」
「こう見えても抜刀術をやってる身だからさ?」
「あぁ…。あ、そうだ。今日は泊まってくといいよ?」
「ほんと!?いいの!?」
「うん!イタリアオオカミもいいよ?」
「ありがとうございます!」
「…でも、僕たちを合わせたのが君だとするなら…料理は得意なの?」
「まあそうだね!俺は色々なところで料理してきたから!」
家族はもちろん、友人、従兄弟、そしてネ友にも料理を振る舞ってきたから!
「なら今日の昼と夜一緒に作ろ!」
「だね!」
「「あははは!」」
なんか自分が作ったオリキャラと一緒に笑い合ってるってなんか変だけど楽しいな!
「…ふぅ。ねぇ、ヤマト」
「んー?」
「こうやってさ、パークに来ちゃったって言ってたけど、もし帰ることができないって言ってたら?」
「…実は…帰りたくないんだよ…」
「うん、わかるよ?ここは誰もが自由に生きられる楽園だしね?」
「確かにそれもそうなんだけど…家に帰りたくないってことかな…?」
「…同じ運命を背負ってきた身かもしれないからさ、相談には乗ってあげるよ?」
「あぁ…ありがとね…こんな俺にみんな協力してくれて…」
「こんな俺なんか言わないの!家に帰りたくないんだって?じゃあここを家にすればいいよ!ねぇ、いいよね?オオカミ!」
「いいよ?それくらいならお安い御用だよ!」
「マジか…みんなの厚い歓迎には本当に感謝しないとね…」
「協力してこそのフレンズでしょ?」
「…ふふっ!そうだね!」
「…それじゃ、決定!そこでヤマトに聞きたいことがあるんだよね!」
「え?」
「ヤマト、君は見たところ、オスだね?」
「まぁそうだね」
「じゃあ、聞くけど、将来的には誰かとつがいになるつもりではいるの?」
「え…」
…全く考えてなかった…俺がここに来たことが意味することは数少ない男…いや、オスの仲間入りをすること…多分こっちから言わなくともメスの方から言ってくれる可能性がある。そう、彼女みたいにね…ふふ…
「多分…なると思うけど…」
「なら今のうちに友好関係を築いておくといいよ?ねぇ、オオカミ?」
「そうだね?私たちの子のレオも、イナも、カエデもみんな、昔からの友達だったフレンズの中からつがいになっているからね…レオは昔からつがいになりたかったニホンオオカミとつがいになって、イナは崖から落ちた時に助けてもらった兄の方のロック鳥とつがいになって…カエデは昔から代理の守護役として四神の中の一人を悩みに悩んだ結果、ビャッコとつがいになったからね…みんな、昔から関係を築いていたフレンズとつがいになっているから、君も今のうちだよ?」
「なるほど…じゃあこの度の旅で良さそうなフレンズ探すとするか…」
「オレンジお兄様!」
「ん?」
「ヤマトお兄様ってヒトのフレンズなんですか?」
「…そうだねぇ…検査してみるか!」
「検査?」
「ふふっ!お兄ちゃんに術を教えてもらったからさ!」
俺の知らないところでそんな術を…
「さ、準備はいいかい?」
「何をするの?」
「なーに、目を見開いて、集中して僕の指を見るだけ!ささっ、行くよ?」
…指綺麗だなぁ…って思いながら目を見開いて集中して見よう!
「…へぇ…なるほどね…ヤマト、サンドスターには当たった?」
「いや…俺が覚えてる限りでは当たってない」
「なるほどね…」
当たってない…はず。
「…よし!ありがと!」
「で、どうなの?俺のサンドスター」
「…予想外だね…多すぎる」
「え?俺がサンドスター持ってるの?」
「うん。通常のサンドスター量を遥かに超えてる」
「な、なるほど…?ちなみにどうやって調べたの?」
「僕の指をすごい目を集中させて見開いて見させたけど、集中するところにサンドスターは集まりやすいんだよ。だから、その性質を利用して目にサンドスターを寄せ集めて、目に写るキラキラを見て判断するんだよ?」
「は、はぁ…?」
「これは…フレンズの服を着させればフレンズ化しそう…」
「え!なら私の服着てみてください!」
「イタリアオオカミ?ヤマトの判断も聞かなきゃね?…どうなんだい?」
「…試しにやってみますか!」
そう決めて、イタリアオオカミが服を脱ぐべく、別室に行く。
…待てよ?それってメスいわく、女性の服を着るってことだよな?それもさっきまで誰かが来てた服を。…やばいことを引き受けたな…
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